第111回 午後 問53
公衆衛生看護活動展開論
精密検査に関する問題
次の文を読み51~53の問いに答えよ。
A市は臨海部に工業地帯を有し、市民の多くが大小の工場に勤務している。県内他市に比べて、生活習慣病のリスクを高める飲酒量の者、喫煙者、肥満者の割合が高いこと、魚類摂取量や塩分摂取量が多いこと、定期健康診断の受診率が低いことが把握されている。また、大腸癌の罹患率が高い一方で、検診受診率が低いことが課題となっている。A市は大腸癌について、検診受診率向上の対策とともに、予防対策も検討することにした。
この年、A市の大腸がん検診を受診した者は5,001人、そのうち精密検査が必要な者は500人であった。その後、精密検査で大腸癌と診断された者は10人であった。検診では異常がなかった4,501人のうち、大腸癌が発見された者が1人いた。
同じ年に市区町村が実施した大腸がん検診受診者における検診と精密検査の受診状況について全国とA市の実際の値を表に示す。A市の大腸がん予防対策で優先度が高いのはどれか。
(%)
| 項目 | 全国 | A市 |
|---|---|---|
| 検診受診率 | 6.5 | 9.8 |
| 検診受診者における要精密検査者の割合 | 5.9 | 10.0 |
| 精密検査受診率 | 70.0 | 60.0 |
- 1検診の敏感度を上げる。
- 2禁煙指導教室を開催する。
- 340歳代に検診の受診を勧奨する。
- 4要精密検査者に精密検査の受診を勧奨する。
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✓ これが正解4要精密検査者に精密検査の受診を勧奨する。
解説
A市は精密検査受診率が低いため、要精密検査者への受診勧奨を優先します。
がん検診は、検診を受けるだけでなく、要精密検査となった人が精密検査を受けて初めて、がんの早期発見と死亡の減少につながります。そのため、がん検診の精度管理では、受診率に加えて、要精密検査者の割合、精密検査受診率、がん発見率などの指標を確かめ、どの段階に課題があるかを見きわめます。
表を見ると、A市の検診受診率は9.8%で全国の6.5%を上回っています。一方、精密検査受診率は60.0%で全国の70.0%より低く、要精密検査となった人の4割が精密検査を受けていません。検診で見つかった異常が確定診断につながっていないことが、A市の最も大きな課題です。そのため、要精密検査者に精密検査の受診を勧奨することが優先されます。ほかの肢は、全国より良い指標をさらに伸ばそうとするものか、表が示す課題に直接働きかけないものです。
検診の指標の表では、全国より悪い指標を探し、その段階に働きかける対策を選ぶ、と覚えておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1検診の敏感度を上げる。:A市の要精密検査者の割合は10.0%で、全国の5.9%を大きく上回っています。検診で異常ありとされる人はすでに多く、敏感度を上げる対策は、精密検査を受けない人が多いという課題の解決になりません。
- 2禁煙指導教室を開催する。:喫煙は大腸癌のリスク因子でもあり禁煙指導には意味がありますが、表が示しているのは精密検査を受けない人の多さです。今の課題に直接働きかける対策ではないため、優先度は高くありません。
- 340歳代に検診の受診を勧奨する。:A市の検診受診率は全国を上回っており、受診率を上げることが最も急がれる状況ではありません。40歳代に勧奨しても、要精密検査となった人が精密検査を受けなければ早期発見にはつながりません。
出典:第111回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問53(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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