第112回 午後 問10
公衆衛生看護活動展開論
高齢者虐待への対応で適切なの
保健所の保健師は指定難病のAさん(78歳、女性)の家庭訪問をした際に、Aさんの腕に多くの新旧のあざがあることに気付いた。詳細を聞くと、介護者である同居の息子が毎日のように暴力を振るうと話し、胸部や腹部にもあざが確認できた。保健師は市の高齢福祉課と連携して支援するために情報共有をしたいと考えたが、Aさんの同意が得られなかった。保健所に戻った保健師がこの日に行う高齢者虐待への対応で適切なのはどれか。
- 1福祉事務所に通報する。
- 2市の高齢福祉課と情報共有する。
- 31週間後の家庭訪問の計画を立てる。
- 4Aさんに電話をして同意が得られるまで説得する。
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✓ これが正解2市の高齢福祉課と情報共有する。
解説
生命・身体に重大な危険があり、同意なしでも市へ通報します。
高齢者虐待防止法第7条は、養護者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者に対し、生命または身体に重大な危険が生じている場合は速やかに市町村に通報しなければならないと定め、それ以外の場合も通報の努力義務を課しています。さらに第3項で、守秘義務に関する法律の規定は通報を妨げるものと解釈してはならないとしています。
Aさんの腕には新旧のあざが多数あり、胸部や腹部にもあざがあります。介護者である息子が毎日のように暴力を振るっていると本人が話しており、身体に重大な危険が生じている状況と判断できます。このような場合、本人の同意が得られなくても、保健師は通報先である市町村、ここでは市の高齢福祉課に速やかに知らせて情報を共有する必要があります。訪問を1週間後に先送りしたり、同意が得られるまで説得を続けたりすると、その間も暴力が続くおそれがあります。
したがって、この日のうちに市の高齢福祉課と情報共有するのが適切です。高齢者虐待の通報先は市町村であり、生命や身体に重大な危険があれば本人の同意を待たずに動く、と押さえておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1福祉事務所に通報する。:高齢者虐待防止法が定める通報先は市町村です。福祉事務所は生活保護などを担う機関であり、虐待の通報と対応の窓口として法に定められている先ではありません。
- 31週間後の家庭訪問の計画を立てる。:毎日のように暴力を受け、胸や腹にもあざがある状態で1週間待つと、その間に重大な被害が起こるおそれがあります。この日のうちに通報先と動くべき場面です。
- 4Aさんに電話をして同意が得られるまで説得する。:通報は本人の同意がなくても行うことができ、守秘義務の規定も通報を妨げないとされています。同意を得るまで説得を続けることで対応を遅らせる理由はありません。
出典:第112回 保健師国家試験 午後(厚生労働省)問10(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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