第38回 問題88
認知症の理解
次の記述のうち,認知症(dementia)の人の遂行機能障害の症状として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ご飯を食べたことを忘れて,ご飯をほしいと言う。
- 2包丁の使い方を忘れて,うまく使うことができない。
- 3食事が配膳されているが,左側のものを残す。
- 4調理の手順を順序だてて行うことができない。
- 5皿の模様をおかずと間違えて,スプーンですくおうとする。
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✓ これが正解4調理の手順を順序だてて行うことができない。
解説
調理の手順を順序立てて行えないのが遂行機能障害の症状です。
遂行機能とは、目標を決め、手順を考え、順番どおりに実行し、うまくいっているか確かめながら進める力のことです。認知症の中核症状(脳の障害から直接起こる症状)の一つで、この力が落ちると、一つひとつの動作はできても、まとまった作業を段取りよく進めることが難しくなります。
調理は、材料をそろえ、切り、加熱し、味つけをするという複数の手順を、順番と時間を考えながら進める作業です。包丁で切ることなど個々の動作ができても、どれから手をつけるか分からない、途中で止まってしまう、といった形で困りごとが現れるのが遂行機能障害の特徴です。ほかの肢は、記憶、道具の使い方、片側の見落とし、見たものの見誤りといった、別の中核症状の例になっています。
したがって、調理の手順を順序立てて行うことができない記述が最も適切です。遂行機能障害は、計画と段取りの障害と覚え、個々の動作ができるかではなく、手順を組み立てられるかに注目すると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ご飯を食べたことを忘れて,ご飯をほしいと言う。:食事をしたこと自体を忘れて、もう一度欲しがるのは、出来事をまるごと覚えていられない記憶障害の例です。段取りを組み立てる力の問題ではありません。
- 2包丁の使い方を忘れて,うまく使うことができない。:手足の動きに問題がないのに、包丁など道具の使い方が分からなくなるのは失行の例です。動作の手順を組み立てる遂行機能の障害とは区別されます。
- 3食事が配膳されているが,左側のものを残す。:配膳された食事の左側だけを残すのは、片側の空間に注意が向かない半側空間無視の例です。脳の障害による見落としであり、遂行機能障害の症状ではありません。
- 5皿の模様をおかずと間違えて,スプーンですくおうとする。:皿の模様をおかずと見間違えるのは、目は見えているのに見たものを正しく認識できない失認などの例です。手順を組み立てる力とは別の症状です。
出典:第38回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題88。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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