第61回 午後 問15
リハビリテーション医学
ボツリヌス療法の投与筋で適切なの
54歳の男性。6年前に左被殻出血の既往がある。立位時の様子を示す。下肢痙縮に対するボツリヌス療法の投与筋で適切なのはどれか。
立位時の様子の図:
- 正面から見た両下肢。右足部は底屈・内反し、足部の外側で接地している。左足部は全面で接地している。
- 1後脛骨筋
- 2前脛骨筋
- 3短腓骨筋
- 4長腓骨筋
- 5長母指伸筋
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✓ これが正解1後脛骨筋
解説
内反尖足の痙縮には後脛骨筋へのボツリヌス療法が適切です。
図では右足部が底屈・内反し、外側で接地しています。これは脳卒中後の片麻痺でよく見られる内反尖足で、6年前の左被殻出血による右片麻痺と合います。判断の軸は、足部を底屈と内反の両方へ引く筋はどれかという下腿筋の作用の知識です。
後脛骨筋は下腿の深層を通って内果の後ろを回り、舟状骨などに付く筋で、足関節の底屈と足部の内反(内がえし)に働きます。痙縮でこの筋が過剰に働くと内反尖足が強まるため、ボツリヌス療法で筋の緊張を下げる対象として適切です。内反尖足では下腿三頭筋もよく投与の対象になります。
前脛骨筋は背屈と内反に働く筋で、内反には関わりますが尖足(底屈)とは逆向きです。短腓骨筋と長腓骨筋は外がえしに働き、内反を打ち消す側の筋なので、緊張を下げると内反がさらに強まります。長母指伸筋は母指を伸ばす筋で、内反尖足の主な原因ではありません。足の変形は、その向きへ引く筋を探す、と考えると投与筋の選択も迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2前脛骨筋:前脛骨筋は足関節の背屈と内反に働きます。尖足とは逆方向の作用なので、この筋の緊張を下げても底屈・内反の変形は改善しません。
- 3短腓骨筋:短腓骨筋は足部を外がえしにする筋で、内反を打ち消す側に働きます。この筋の働きを弱めると内反がかえって強まります。
- 4長腓骨筋:長腓骨筋は外がえしと底屈に働き、内反と拮抗する筋です。内反尖足の患者で投与すると、足部の内反を助長してしまいます。
- 5長母指伸筋:長母指伸筋は母指の伸展と足関節の背屈を助ける筋です。母指が反り返る変形には関わりますが、底屈・内反の主な原因ではありません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問15(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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