第61回 午後 問98
臨床医学
自閉スペクトラム症に関する問題
自閉スペクトラム症〈自閉症スペクトラム障害〉を強く示唆する患者の発言はどれか。
- 1「発作が起こるのが心配で長距離の移動ができません」
- 2「ガスの元栓を閉めたか、何度も確認しないと気がすみません」
- 3「何をしても現実感がなく、まるで映画の中の世界にいるようです」
- 4「突然の予定変更があると臨機応変に対応できず、感情が激しく乱れます」
- 5「人前では緊張して思うように話せないので、親友に頼まれた結婚式のスピーチを断りました」
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✓ これが正解4「突然の予定変更があると臨機応変に対応できず、感情が激しく乱れます」
解説
予定の急な変更に対応できず混乱する訴えは自閉スペクトラム症を示唆します。
自閉スペクトラム症は、対人関係や社会的なコミュニケーションの困難と、限定された興味や反復的な行動、同じことへの強いこだわりを特徴とする発達障害です。判断の軸は、発言の内容がどの病態の特徴を表しているかです。
突然の予定変更に臨機応変に対応できず、感情が激しく乱れるという発言は、決まった手順や予定へのこだわりが強く、変化への柔軟な対応が難しいという自閉スペクトラム症の特徴をよく表しています。よってこの発言が自閉スペクトラム症を最も強く示唆します。
発作が起こるのが心配で長距離の移動ができないという発言は、パニック発作への予期不安と、逃げられない場所を避ける広場恐怖を思わせます。ガスの元栓を閉めたか何度も確認しないと気がすまないという発言は、確認強迫を特徴とする強迫症(強迫性障害)を示唆します。何をしても現実感がなく、映画の中にいるようだという発言は、離人感・現実感消失の症状です。人前で緊張して話せず、スピーチを断ったという発言は、社交不安症(社交恐怖)を思わせます。変化への強い苦手さはこだわりの表れ、と結び付けて覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「発作が起こるのが心配で長距離の移動ができません」:発作が起きたらどうしようという不安から遠出を避ける訴えは、パニック症の予期不安や広場恐怖を思わせます。自閉スペクトラム症に特有の内容ではありません。
- 2「ガスの元栓を閉めたか、何度も確認しないと気がすみません」:ガスの元栓を何度も確かめずにいられないのは、ばかばかしいと分かっていてもやめられない確認行為で、強迫症に典型的な訴えです。
- 3「何をしても現実感がなく、まるで映画の中の世界にいるようです」:周りの世界に現実味がなく、映画を見ているように感じるのは離人感・現実感消失の症状です。発達の特性によるこだわりとは性質が異なります。
- 5「人前では緊張して思うように話せないので、親友に頼まれた結婚式のスピーチを断りました」:人前で注目されると強く緊張し、話すことを避けてしまうのは社交不安症の特徴です。予定の変化への苦手さとは別の問題です。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問98(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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