第36回 問題40
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,包括的な支援体制の構築に向けて,社会福祉協議会のE職員(社会福祉士)が行う支援の方針として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
P地区では,Q国の外国人居住者が増加している。Fさんは,Q国の外国人居住者のまとめ役を担っており,Eのところに相談に訪れた。Fさんは,日常会話程度の日本語は話せるが,日本の慣習に不慣れなために,過去に近隣住民とトラブルが生じてしまい,地域で気軽に相談できる日本人がいない。Fさんを含めて,P地区で暮らす外国人の多くが,地域活動にはあまり参加していない状態で,地域から孤立しているようである。Eは,このような外国人居住者の社会的孤立の問題を解決するための対策を検討した。
- 1Fさんらを講師として招き,地域で暮らす外国人居住者の暮らしや文化について,近隣住民が学ぶ機会を設ける。
- 2日本語が上達できるよう,Fさんに日本語の学習教材を提供する。
- 3外国人居住者が主体的に参加できるように,これまでの地域活動のあり方を見直す。
- 4近隣住民と再びトラブルが生じることを避けるため,自治会長に外国人居住者に対する生活指導を依頼する。
- 5外国人居住者に日本の文化や慣習を遵守させるため,地域のルールを作成する。
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✓ これが正解1Fさんらを講師として招き,地域で暮らす外国人居住者の暮らしや文化について,近隣住民が学ぶ機会を設ける。
✓ これが正解3外国人居住者が主体的に参加できるように,これまでの地域活動のあり方を見直す。
解説
住民が外国人の暮らしを学ぶ機会づくりと、地域活動の見直しの2つです。
2つ選ぶ問です。場面は、まとめ役のFさんの相談を受けて、社会福祉協議会のE職員が地域への働きかけの方針を考える段階です。決め手はFさんの状況の読み取りです。Fさんは日常会話程度の日本語は話せます。困っているのは日本の慣習に不慣れなことと過去の近隣トラブル、そして気軽に相談できる日本人がいないことです。さらに、P地区の外国人の多くが地域活動に参加していません。つまり課題は個人の能力不足よりも、外国人居住者と地域との関係が途切れていることにあります。
包括的な支援体制づくりでは、外国人居住者を支援を受けるだけの存在ではなく、地域をともにつくる住民として位置づける視点が求められます。Fさんらを講師に招き、近隣住民が外国人居住者の暮らしや文化を学ぶ機会を設けることは、住民側の理解を広げると同時に、Fさんらの持つ力を地域で生かす取り組みです。互いを知ることで、トラブルの背景にある誤解も解けやすくなります。また、外国人居住者が主体的に参加できるよう、これまでの地域活動のあり方を見直すことは、孤立を生んでいる地域の側の仕組みに働きかける方針です。
見分け方として、外国人居住者に一方的に合わせさせる方針か、地域の側も変わる双方向の方針かを見ると、適切な2つが選べます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2日本語が上達できるよう,Fさんに日本語の学習教材を提供する。:Fさんは日常会話程度の日本語をすでに話せます。孤立の原因は語学力よりも慣習の違いや住民との関係にあり、教材を渡すだけでは地域とのつながりを取り戻すことになりません。
- 4近隣住民と再びトラブルが生じることを避けるため,自治会長に外国人居住者に対する生活指導を依頼する。:自治会長による生活指導は、外国人居住者を指導される側に固定する一方的な対応です。住民と対等な関係を築くことにつながらず、かえって距離を広げるおそれがあります。
- 5外国人居住者に日本の文化や慣習を遵守させるため,地域のルールを作成する。:日本の文化や慣習を守らせるためのルール作りは、外国人居住者に同化を迫る対応です。地域の一員として参加できる環境を整えるという包括的支援の考え方とは向きが逆です。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題40。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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