第37回 問題68
ソーシャルワークの基盤と専門職
アメリカにおける初期のセツルメントに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「施与ではなく友人を」を掲げて友愛訪問活動を行った。
- 2貧困を社会的・経済的な問題として捉えた。
- 3ケーススタディを通して貧困状態にある人の救済を行った。
- 4援助の効率化を図るために「援助に値する貧民」を選別した。
- 5シカゴにはトインビーホールが設立された。
答えと解説を見る
✓ これが正解2貧困を社会的・経済的な問題として捉えた。
解説
アメリカの初期のセツルメントは、貧困を社会的・経済的な問題と捉えました。
19世紀後半のイギリスとアメリカでは、貧困への民間の取組として、慈善組織協会(COS)とセツルメント運動の2つの流れが生まれました。両者は貧困の捉え方が対照的で、この違いを押さえることが判断の軸になります。
慈善組織協会は、救済の重複や漏れを防ぐために慈善活動を組織化し、友愛訪問を通じて個々の貧困者を調べて援助しました。その背景には、貧困の原因を個人の性格や生活習慣に求める見方がありました。これに対しセツルメント運動は、知識人や学生が貧困地域に住み込み、住民と生活を共にしながら教育や生活改善、社会改良に取り組んだ運動です。貧困を個人の問題ではなく、劣悪な労働条件や住環境などの社会的・経済的な問題として捉え、社会の仕組みの改善を求めました。したがって、貧困を社会的・経済的な問題として捉えたとする記述が最も適切です。
アメリカでは、1886年にニューヨークでネイバーフッド・ギルドが、1889年にシカゴでアダムス(Addams, J.)らによるハル・ハウスが開設されました。見分け方は、友愛訪問、施与ではなく友人を、援助に値する貧民の選別は慈善組織協会、住み込み、社会改良、貧困の社会的原因はセツルメント、と言葉で仕分けることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「施与ではなく友人を」を掲げて友愛訪問活動を行った。:施与ではなく友人をという標語を掲げて友愛訪問を行ったのは、慈善組織協会です。施しを与えるのではなく友人として貧困者に接し、自立を促そうとした活動で、セツルメントの説明ではありません。
- 3ケーススタディを通して貧困状態にある人の救済を行った。:貧困状態にある人を一人ひとり調べて個別に救済する方法は、友愛訪問を行った慈善組織協会の流れにあたり、のちのケースワークにつながりました。セツルメントは地域に住み込み社会改良を進めた運動です。
- 4援助の効率化を図るために「援助に値する貧民」を選別した。:援助の効率化のために、援助に値する貧民と値しない貧民を選別したのは慈善組織協会の考え方です。セツルメントは貧困を個人の資質で分けるのではなく、社会の問題として捉えました。
- 5シカゴにはトインビーホールが設立された。:トインビーホールは、1884年にロンドンで開設された世界最初のセツルメントです。シカゴに設立されたのはアダムスらのハル・ハウスで、両者を取り違えています。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題68。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)