第37回 問題102
貧困に対する支援
事例を読んで,退院を控えたAさんに対する福祉事務所の現業員(社会福祉士)の説明に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(26歳)は,両親を早くに亡くし,児童養護施設に入所した。退所後は就職した会社の寮に入っていたが病気のため退職し,入院治療となった。収入は途絶え預貯金もなくなったため,生活保護を受けて療養していたところ,医師はそろそろ退院でき,後遺症も残らないという。Aさんは,退院後は地域で生活したいが,仕事や住まいに不安が大きいため,病院のソーシャルワーカーに相談したところ,現業員を交えて3人で話し合いをすることになった。
- 1「退院したら治療が必要なくなるので,医療扶助は廃止になります」
- 2「アパートを借りる場合には,敷金や礼金が住宅扶助から支給されます」
- 3「地域での生活が落ち着いてからハローワークに行ってはどうですか」
- 4「退院後,救護施設に入るよう手続きをしておきます」
- 5「退院後,しばらくは児童養護施設で生活できるように施設長にお願いしておきます」
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✓ これが正解2「アパートを借りる場合には,敷金や礼金が住宅扶助から支給されます」
✓ これが正解3「地域での生活が落ち着いてからハローワークに行ってはどうですか」
解説
敷金等は住宅扶助から出ること、就労は生活が落ち着いてからでよいことです。
この事例は、生活保護を受けて療養してきたAさんが退院を控え、病院のソーシャルワーカーと福祉事務所の現業員とともに退院後の生活を話し合う場面です。決め手は、Aさんが地域での生活を望みつつ、仕事や住まいに大きな不安を抱えていることです。2つ選ぶ問なので、住まいと仕事の不安にそれぞれ応える説明を選びます。
住まいについては、会社の寮を出ているAさんがアパートを借りるとき、敷金や礼金などの転居に必要な費用は、一定の範囲で住宅扶助から支給されます。地域での生活を始めるための費用が出ることを伝えれば、住まいへの不安を和らげることができます。
仕事については、Aさんは病気で退職し、治療を終えたばかりです。退院直後から就労を急がせるのではなく、まず地域での生活を安定させ、そのうえでハローワークの利用を考えるよう提案するのは、本人のペースを尊重した助言です。生活保護は自立の助長も目的としているので、段階を追って就労に向かう見通しを示すことに意味があります。
覚え方として、退院支援では、生活の場を整える費用と、本人のペースに合わせた自立の道筋の両方を示す、と考えると選びやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「退院したら治療が必要なくなるので,医療扶助は廃止になります」:退院しても、経過をみるための通院や服薬が続くことは珍しくありません。医療扶助が必要かどうかは退院後の治療の状況で判断するもので、退院すれば必ず廃止になると伝えるのは適切ではありません。
- 4「退院後,救護施設に入るよう手続きをしておきます」:救護施設は、身体や精神に著しい障害があり、日常生活を送ることが難しい人を受け入れる施設です。後遺症も残らない見込みで、地域での生活を望んでいるAさんに入所の手続きを進めるのは、本人の意向にも合いません。
- 5「退院後,しばらくは児童養護施設で生活できるように施設長にお願いしておきます」:児童養護施設は、保護者のいない子どもや家庭での養育が難しい子どもが生活する児童福祉施設です。26歳のAさんが退院後に暮らす場ではなく、施設長に頼んで生活させるという説明は制度にも本人の希望にも合いません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題102。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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