第38回 問題35
社会保障
事例を読んで,労働保険の給付等に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Aさん(35歳)は,職場で嫌がらせを受けたことで適応障害を生じ,業務災害の認定を受けた。労災病院で治療を受けながら就業を続けていたが,嫌がらせが止まないため15年間勤続した会社を退職した。次の仕事を探す気がなかなか起きなかったが,無収入の状態が続くことに不安を感じ,雇用保険被保険者離職票を持って公共職業安定所(ハローワーク)に赴き,職業紹介を受けることにした。
- 1Aさんの療養補償給付については,療養の費用が支給される。
- 2Aさんが退職したことによって,療養補償給付の受給権は消滅する。
- 3Aさんに適用される基本手当の所定給付日数に,離職理由は関係しない。
- 4Aさんは,求職の申込みをしなくても基本手当の支給を受けることができる。
- 5Aさんが,正当な理由なく紹介された職業に就くことを拒むと,基本手当は1か月間支給されない。
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✓ これが正解5Aさんが,正当な理由なく紹介された職業に就くことを拒むと,基本手当は1か月間支給されない。
解説
紹介された職業を正当な理由なく拒むと、基本手当は1か月間支給されません。
事例の決め手は、Aさんが業務災害の認定を受けて労災病院で治療を受けていること、そして退職後に離職票を持ってハローワークで職業紹介を受けようとしていることです。労災保険の療養補償給付と、雇用保険の基本手当という二つの制度を分けて考えます。
雇用保険法は、受給資格者が公共職業安定所から紹介された職業に就くことや、指示された公共職業訓練等を受けることを、正当な理由なく拒んだときは、拒んだ日から起算して1か月間は基本手当を支給しないと定めています(給付制限)。したがって、正当な理由なく紹介された職業に就くことを拒むと基本手当が1か月間支給されないという記述が最も適切です。
ほかの記述は、療養補償給付の給付のかたちと退職との関係、所定給付日数の決まり方、基本手当を受けるために必要な手続きを取り違えています。
基本手当は働く意思と能力があることを前提とした給付であり、その前提を損なうような行動には給付制限がかかる、と結びつけて覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Aさんの療養補償給付については,療養の費用が支給される。:Aさんは労災病院で治療を受けているので、療養補償給付は療養の給付として、治療そのものが現物で提供されます。費用を立て替えて後から療養の費用を受け取る形は、指定された医療機関以外で受診した場合の扱いです。
- 2Aさんが退職したことによって,療養補償給付の受給権は消滅する。:労災保険の保険給付を受ける権利は、労働者が退職しても変更されないと法律で定められています。業務災害による適応障害の療養が必要な限り、退職後も療養補償給付を受け続けられます。
- 3Aさんに適用される基本手当の所定給付日数に,離職理由は関係しない。:基本手当の所定給付日数は、離職の理由、被保険者であった期間、離職時の年齢によって決まります。解雇や嫌がらせによる離職などで特定受給資格者と認められると、自己都合の場合より日数が多くなることがあります。
- 4Aさんは,求職の申込みをしなくても基本手当の支給を受けることができる。:基本手当を受けるには、公共職業安定所に出頭して求職の申込みをし、働く意思と能力があるのに職業に就けない失業の状態であると認定を受ける必要があります。求職の申込みは受給の前提となる手続きです。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題35。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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