第38回 問題67
ソーシャルワークの基盤と専門職
次の記述のうち,多文化ソーシャルワーク(Multicultural Social Work)について著したスー(Sue, D.W.)による言説として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1文化的コンピテンス(Cultural Competence)を「ソーシャルワーカーの最適な発達を最大限に促したり,そのための環境を創出する教育的能力」と捉えた。
- 2マイクロアグレッション(Microaggression)を「不特定多数の者に対して突発的に行う,根拠なき侮蔑行為」と捉えた。
- 3文化(Culture)を「歴史の中で,人々が,行い,信じ,大切にし,そして享受するために学んだすべてのこと」と捉えた。
- 4バイカルチュラリズム(Biculturalism)を「二つの異なる文化圏で誕生したアメリカ社会が人々の生活を拘束していること」と捉えた。
- 5人種/民族の曖昧さ(Racial/Ethnic Ambiguity)を「多文化社会での暮らしや雑婚により,自身の人種・民族的なアイデンティティが曖昧さの中で失われること」と捉えた。
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✓ これが正解3文化(Culture)を「歴史の中で,人々が,行い,信じ,大切にし,そして享受するために学んだすべてのこと」と捉えた。
解説
スーは文化を、人々が行い、信じ、大切にし、享受するために学んだすべてとしました。
この問は、多文化ソーシャルワークについて著したスーが、文化に関わる言葉をどのように捉えたかを問うものです。それぞれの概念が、だれの、どんな状態や力を指しているのかを押さえているかが判断の軸です。
最も適切なのは、文化を、歴史の中で人々が、行い、信じ、大切にし、そして享受するために学んだすべてのことと捉えたという記述です。この捉え方では、文化は国籍や民族の名前だけで決まるものではなく、人が生きる中で身につけてきた行動、信念、価値、楽しみの全体を指します。ソーシャルワーカーは、クライエントの行動や考え方の背景に、その人が学んできた文化があることを理解し、自分自身もまた一つの文化を背負った存在だと自覚することが求められます。
多文化ソーシャルワークの言葉は、文化的コンピテンスはクライエントのための力、マイクロアグレッションは日常の何気ない言動、バイカルチュラリズムは二つの文化の中で生きる力、というように、その言葉の主語と中身を対にして覚えると、意味をずらした記述に気づきやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1文化的コンピテンス(Cultural C…:スーの文化的コンピテンスは、クライエントやクライエントを取り巻くシステムの最適な発達を最大限に促す行動をとったり、そのための条件を作り出したりする力を指します。ソーシャルワーカー自身の発達を促す教育的能力ではありません。
- 2マイクロアグレッション(Microagg…:マイクロアグレッションは、日常の何気ない短い言動の中で、周縁に置かれた集団の人々に向けて、意図の有無にかかわらず伝わってしまう軽視や侮辱を指します。不特定多数への突発的な侮蔑行為という捉え方ではありません。
- 4バイカルチュラリズム(Bicultura…:バイカルチュラリズムは、二つの異なる文化の中で、それぞれの文化に応じて生き、ふるまうことができる状態や力を指す言葉です。アメリカ社会が人々の生活を拘束しているという意味ではありません。
- 5人種/民族の曖昧さ(Racial/Eth…:人種・民族の曖昧さは、複数のルーツをもつ人などについて、周囲が見た目から人種や民族を判別しにくい状況を指す言葉として説明されます。アイデンティティが失われることを意味する概念ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題67。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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