第38回 問題107
保健医療と福祉
事例を読んで,病院のAソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応として,次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(18歳,未婚,就業経験なし)は,腹痛を訴えて救急車で緊急入院となった。検査の結果,妊娠8か月であり,切迫早産の危険性がある状態であった。さらに母子健康手帳の未交付,妊婦検診も未受診であった。救急担当医師からの依頼で,AがBさんと面談を行った。その結果,友達の家を転々とし,経済的に困窮していること,お腹の子どもの父親は分からないとのことであった。
- 1特定妊婦と判断し,支援の必要性を説明する。
- 2医療機関から他機関への情報提供を行わない旨を説明する。
- 3出産手当金の申請が可能であることを説明する。
- 4母子生活支援施設の入所が可能であることを説明する。
- 5出産後,子どもを専門里親に託すことが可能であることを説明する。
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✓ これが正解1特定妊婦と判断し,支援の必要性を説明する。
✓ これが正解4母子生活支援施設の入所が可能であることを説明する。
解説
特定妊婦と判断して支援の必要性を伝え、母子生活支援施設を紹介する。
事例の決め手は、18歳のBさんが妊娠8か月で母子健康手帳を受け取っておらず、妊婦健診も受けていないこと、住まいが定まらず経済的に困窮していること、子どもの父親が分からないことです。支援の段階でいえば、救急入院を機に初めて支援者とつながったインテーク・アセスメントの段階で、出産前から支援につなぐ必要が明らかな場面です。2つ選ぶ問です。
1つめに適切なのは、Bさんを特定妊婦と判断し、支援の必要性を説明する対応です。特定妊婦とは、児童福祉法で、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦とされています。未受診、住居が不安定、経済的困窮、パートナーの不在などは、その判断のよりどころとなる事情です。特定妊婦と判断されると、市町村や要保護児童対策地域協議会による出産前からの支援の対象となります。
2つめに適切なのは、母子生活支援施設への入所が可能であることを説明する対応です。母子生活支援施設は、配偶者のない女子又はこれに準ずる事情にある女子と、その監護すべき児童を入所させて保護し、自立を支援する児童福祉施設です。住まいのないBさんにとって、出産後に子どもと暮らす場の候補になります。
ほかの記述は、Bさんの状況に合いません。病院は特定妊婦などの情報を市町村に提供するよう努めることとされており、情報を出さないと約束するのは逆です。出産手当金は働いている健康保険の被保険者のための給付で、専門里親は被虐待児など特別な配慮が必要な子どもを養育する里親です。妊娠中から始まる支援につなぐ、という視点で見分けるのがこつです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2医療機関から他機関への情報提供を行わない旨を説明する。:病院などの医療機関は、支援が特に必要な妊婦を把握したときは市町村に情報を提供するよう努めることとされています。Bさんには出産前からの支援が必要であり、情報提供をしないと約束するのは支援の道を閉ざす対応です。
- 3出産手当金の申請が可能であることを説明する。:出産手当金は、健康保険の被保険者である女性が出産のために仕事を休み給与を受けられないときに支給される給付です。就業経験がないBさんは対象にならず、申請できると説明するのは誤りです。
- 5出産後,子どもを専門里親に託すことが可能であることを説明する。:専門里親は、虐待を受けた子どもや障害のある子どもなど、特に専門的な支援が必要な子どもを養育する里親です。出産後の子どもを託す先として最初に示す制度ではなく、Bさんの意向も確かめないまま話すのは適切ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題107。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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