第38回 問題118
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
事例を読んで,次の記述のうち,A総合病院のBソーシャルワーカー(社会福祉士)が面接で把握したクライエントニーズへの対応について,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Cさん(55歳,男性,独居)はA総合病院で5年前に糖尿病と診断された。某メーカーの営業職で多忙な日々を過ごしていたCさんは,血糖値のコントロールも良好ではなく,最近の受診も中断していた。ある日,営業中に倒れ,A総合病院に緊急入院となったCさんは医師から「糖尿病は進行している。しかし,まだ改善の可能性(余地)はある」と告げられた。入院中の糖尿病教室で服薬及び栄養指導を受けたCさんであったが,退院後の生活に不安を抱くようになり,Bの元を訪れ「退院後の生活がとても不安で。元の生活に戻ってはいけないと思うのですが,節制した生活をとても一人では続けていくことができないと感じています」と話した。Bは,Cさん以外の糖尿病患者数人からも同様の話を聞いていた。
- 1主治医に現在のCさんの糖尿病の医学的状況について問い合わせる。
- 2病院の公開講座で,糖尿病治療に関する医師・患者をシンポジストとするシンポジウムを開催する。
- 3不安がなくなるよう繰り返し糖尿病教室に参加するよう勧める。
- 4管理栄養士にCさんへの栄養指導上の課題について確認する。
- 5院内の同じような課題を抱えた糖尿病患者の自助グループの結成を支援する。
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✓ これが正解2病院の公開講座で,糖尿病治療に関する医師・患者をシンポジストとするシンポジウムを開催する。
✓ これが正解5院内の同じような課題を抱えた糖尿病患者の自助グループの結成を支援する。
解説
同じ不安を抱える患者が複数いるため、公開講座と自助グループ支援が適切。
事例の決め手は、事例の最後の一文です。Bは、Cさん以外の糖尿病患者数人からも同様の話を聞いていました。Cさんの不安は、退院後に節制した生活を一人で続けていけないという生活上の不安であり、しかもCさん一人に限らない、同じ病気の患者に共通する課題であることが分かります。支援の段階でいえば、面接でニーズを把握し、その対応を考える段階です。2つ選ぶ問です。
1つめに適切なのは、病院の公開講座で、医師や患者をシンポジストとするシンポジウムを開くことです。同じような悩みを抱える患者や地域の人が、治療の考え方や、病気とともに暮らす患者の経験を知る機会になり、個人の不安を、病院や地域全体で取り組む課題として扱うことにつながります。
2つめに適切なのは、院内の同じような課題を抱えた糖尿病患者の自助グループの結成を支援することです。自助グループは、同じ課題をもつ人どうしが経験を分かち合い、支え合う集まりです。一人では続けられないというCさんの不安に対し、仲間と励まし合いながら生活を続ける場を提供できます。
一方、主治医への医学的状況の確認や、管理栄養士への栄養指導上の課題の確認は、情報を集める段階の動きで、Cさんが訴えた一人で続けられない不安への対応にはなっていません。糖尿病教室への参加を繰り返し勧めることも、知識の不足ではない不安には応えません。個人の訴えが多くの人に共通するときは、集団や組織の単位で対応を考える、という点が見分け方です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1主治医に現在のCさんの糖尿病の医学的状況について問い合わせる。:主治医に医学的な状況を確かめることは情報の収集にとどまります。Cさんが訴えているのは、節制した生活を一人で続けられないという生活上の不安であり、病状の確認だけではそのニーズへの対応になりません。
- 3不安がなくなるよう繰り返し糖尿病教室に参加するよう勧める。:Cさんは糖尿病教室で服薬や栄養の指導をすでに受けており、知識が足りないことが不安の原因ではありません。同じ教室への参加を繰り返し勧めても、一人で続けることへの不安は解消されにくいといえます。
- 4管理栄養士にCさんへの栄養指導上の課題について確認する。:管理栄養士に栄養指導上の課題を確かめることは、指導の内容を見直すための情報収集です。ソーシャルワーカーとして、複数の患者に共通する生活上の不安に応える対応にはなっていません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題118。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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