第111回 午前 問55
公衆衛生看護活動展開論
電磁波に関する問題
次の文を読み55の問いに答えよ。
Aさん(42歳、女性)は1人暮らし。短期大学を卒業後に就職したが、5年前に仕事を解雇された。母親は2年前に他界し、そのころから「外出するとストーカーに追われる」「電磁波で狙われて怖い」と訴えるようになり自宅に引きこもっている。Aさんはこの数日、隣人を見て「お前がストーカーだな」と怒鳴りトラブルが続いている。
Aさんとのトラブルに困った隣人が保健所へ相談に来た。保健師がAさん宅を訪問すると、Aさんは「買い物や仕事を探しに行きたいが、ストーカーのせいで外出できない」「電磁波で攻撃されるため眠れない」と話した。Aさんへの保健師の声かけで適切なのはどれか。
- 1「一緒に警察に相談に行きませんか」
- 2「一緒にハローワークへ行きましょう」
- 3「隣人が迷惑することはやめてください」
- 4「電磁波の攻撃はないので安心してください」
- 5「眠れないことについて医師に相談してみませんか」
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✓ これが正解5「眠れないことについて医師に相談してみませんか」
解説
本人が困っている不眠に焦点を当て、医師への相談を提案します。
Aさんは、ストーカーに追われる、電磁波で攻撃されるという訴えを続けて引きこもり、隣人とのトラブルも起きています。こうした訴えは、精神疾患でみられる妄想の可能性がありますが、Aさんは自分が病気だとは感じておらず、精神科の受診をすぐに勧めても受け入れにくい状態と考えられます。
支援の糸口になるのは、Aさん自身が困っていることです。Aさんは電磁波で攻撃されるため眠れないと話しており、眠れないことはAさん自身がつらさを感じている問題です。訴えの内容には立ち入らずに眠れないつらさを受け止め、その困りごとについて医師に相談してみることを提案すれば、Aさんも受け入れやすく、医療につながるきっかけになります。したがって、眠れないことについて医師に相談してみることを提案する声かけが適切です。
訴えの内容を否定したり、それに沿って行動したり、一方的に注意したりする関わりは、信頼関係を損ないます。本人が困っていることを入り口にして支援につなげる、という考え方を覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「一緒に警察に相談に行きませんか」:警察への相談を一緒に提案すると、ストーカーに追われているというAさんの訴えを事実として認めることになり、思い込みを強める結果になりかねません。健康上の困りごとへの支援にもつながりません。
- 2「一緒にハローワークへ行きましょう」:Aさんは買い物や仕事探しに行きたいと話していますが、今は外出が怖くて引きこもっている状態です。いきなりハローワークへの同行を提案しても実行は難しく、今の困りごとに応える声かけではありません。
- 3「隣人が迷惑することはやめてください」:隣人が迷惑しているので行動をやめるよう求めると、Aさんは責められたと感じ、保健師への警戒心を強めるおそれがあります。トラブルの背景にあるAさんのつらさに目を向けることが先です。
- 4「電磁波の攻撃はないので安心してください」:電磁波の攻撃はないと否定しても、Aさんにとっては現実の体験であり、納得は得られません。訴えを否定されたと感じて信頼関係が崩れ、その後の支援が難しくなります。
出典:第111回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問55(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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