第112回 午前 問54
公衆衛生看護活動展開論
双極症〈双極性障害〉に関する問題
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(32歳、女性)は1人暮らしで、両親はB市内でAさんと別に生活している。Aさんは会社で「自分はなんでもできる」と言い、同僚とトラブルを起こして、27歳で退職となった。翌年、無理な自動車運転による交通事故を起こし、入院先の病院で双極症〈双極性障害〉と診断された。1か月の入院ののちに退院したが、その後はアルバイトを転々としながら暮らしている。
ある日、母親がB市保健センターに来所し「Aの自宅に行ったら、ずっと布団に入ったまま、食事もちゃんと摂っていないようです。Aは眠れない、死にたいと言っている。どうしたら良いでしょうか」と相談があった。地区担当保健師が母親と一緒にAさん宅を訪問した。Aさんは、痩身で顔は青白く、表情は乏しい。
保健師がAさんに確認する内容で優先されるのはどれか。
- 1受診の有無
- 2食事の摂取量
- 3自殺企図の有無
- 4布団から出ない理由
答えと解説を見る
✓ これが正解3自殺企図の有無
解説
死にたいと話しているため、まず自殺企図の有無を確認します。
精神保健の家庭訪問で、本人が死にたいと話しているときは、生命にかかわる危険を最優先で評価します。自殺の危険があるかどうかで、その場で取るべき対応、例えば家族による見守りや緊急の受診の調整が大きく変わるからです。死にたいという気持ちについて率直に尋ねることは、自殺の危険を高めるものではなく、本人が気持ちを話すきっかけになるとされています。
Aさんは双極症〈双極性障害〉と診断されており、母親によると、ずっと布団に入ったまま食事も十分にとれておらず、Aさん自身が眠れない、死にたいと話しています。訪問時も痩せて表情が乏しく、うつ状態にあることがうかがえます。この状態で自殺企図の有無、つまり実際に自殺を図ったことや具体的な計画があるかを確かめることが、まず必要です。受診の有無、食事の摂取量、布団から出ない理由も大切な情報ですが、生命の危険を評価した後に確かめる内容です。
したがって、自殺企図の有無を優先して確認します。危機介入では、まず生命の安全、次に心身の状態、そして生活の状況という順で情報を集めると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1受診の有無:受診の有無は治療につなげるうえで大切な情報ですが、Aさんは死にたいと話しています。今この場での生命の危険を確かめることが、受診状況の確認より先に必要です。
- 2食事の摂取量:食事の摂取量は体の状態を知るために必要な情報ですが、生命の危険を評価することが最優先です。死にたいという訴えがある以上、まず自殺の危険を確かめます。
- 4布団から出ない理由:布団から出ない理由を聞くことは、本人の状態を理解する手がかりになります。ただし死にたいという訴えがある場面では、理由を探るより先に自殺の危険の評価が必要です。
出典:第112回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問54(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)