第112回 午前 問55
公衆衛生看護活動展開論
双極症〈双極性障害〉に関する問題
次の文を読み54、55の問いに答えよ。
Aさん(32歳、女性)は1人暮らしで、両親はB市内でAさんと別に生活している。Aさんは会社で「自分はなんでもできる」と言い、同僚とトラブルを起こして、27歳で退職となった。翌年、無理な自動車運転による交通事故を起こし、入院先の病院で双極症〈双極性障害〉と診断された。1か月の入院ののちに退院したが、その後はアルバイトを転々としながら暮らしている。
ある日、母親がB市保健センターに来所し「Aの自宅に行ったら、ずっと布団に入ったまま、食事もちゃんと摂っていないようです。Aは眠れない、死にたいと言っている。どうしたら良いでしょうか」と相談があった。地区担当保健師が母親と一緒にAさん宅を訪問した。Aさんは、痩身で顔は青白く、表情は乏しい。
その後、Aさんは精神科に3か月入院した。退院後は地区担当保健師が、月1回程度訪問をしている。退院3か月後のある日、Aさん宅を訪問するとAさんは笑顔で覇気があり「薬に頼らなくても、よく眠れるようになりました。体調も良いし、主治医も次回受診のことは言ってなかったので通院はもう終わりです。これからアルバイトを探す予定です」と話した。Aさんへの地区担当保健師の支援で最も優先度が高いのはどれか。
- 1患者会への参加を勧める。
- 2母親に近況を報告するよう勧める。
- 3保健師と一緒に受診することを提案する。
- 4民生委員に見守りを依頼することの了解を得る。
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✓ これが正解3保健師と一緒に受診することを提案する。
解説
自己判断で通院をやめようとしているので、一緒の受診を提案します。
双極症〈双極性障害〉は、気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態をくり返す病気で、症状が落ち着いた後も治療を続けて再発を防ぐことが大切です。体調がよいと感じて自己判断で薬や通院をやめると、再発につながるおそれがあります。
退院3か月後のAさんは、笑顔で覇気があり、薬に頼らなくてもよく眠れるようになった、通院はもう終わりと話しています。服薬をやめている可能性があり、気分の高まりは躁状態の始まりの可能性も考えられます。主治医が次回受診を言っていなかったという本人の解釈だけで通院を終えるのは危険です。保健師が一緒に受診することを提案すれば、主治医に今の状態を伝え、治療の継続について確かめることができます。患者会、母親への報告、民生委員への見守りの依頼は、治療が続けられていることを確かめた後に考える支援です。
したがって、保健師と一緒に受診することを提案するのが最も優先度の高い支援です。精神疾患の地域支援では、治療の中断を防ぐことが再発予防の要になると押さえておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1患者会への参加を勧める。:患者会への参加は、同じ病気の人と交流し、病気とつきあう力を高めるのに役立ちます。しかし治療が中断しかけている今は、まず受診につなげて治療を続けることが優先です。
- 2母親に近況を報告するよう勧める。:母親に近況を報告してもらうことは家族とのつながりを保つうえで大切ですが、治療の中断という今の課題には応えていません。主治医の評価を受けることのほうが先です。
- 4民生委員に見守りを依頼することの了解を得る。:民生委員による見守りは地域での生活を支える手段の一つですが、治療の中断が疑われる状況への直接の対応にはなりません。まずは受診して治療の継続を確かめる必要があります。
出典:第112回 保健師国家試験 午前(厚生労働省)問55(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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