第36回 問題47
認知症の理解
Mさん(80歳,女性,要介護1)は,アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimer’s type)であり,3日前に認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)に入居した。主治医から向精神薬が処方されている。居室では穏やかに過ごしていた。夕食後,表情が険しくなり,「こんなところにはいられません。私は家に帰ります」と大声を上げ,ほかの利用者にも,「あなたも一緒に帰りましょう」と声をかけて皆が落ち着かなくなることがあった。
Mさんの介護を検討するときに優先することとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1Mさんが訴えている内容
- 2Mさんの日中の過ごし方
- 3ほかの利用者が落ち着かなくなったこと
- 4対応に困ったこと
- 5薬が効かなかったこと
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✓ これが正解1Mさんが訴えている内容
解説
まずMさんが何を訴えているのか、その思いを理解することを優先します。
決め手は、認知症対応型共同生活介護に入居して3日目のMさんが、夕食後にここにはいられない、家に帰ると大声を上げ、ほかの利用者にも一緒に帰ろうと声をかけたという様子です。環境が大きく変わったばかりで、不安や戸惑いが強い時期だと考えられます。このような行動は、本人なりの理由や思いの表れとして受け止め、その人の立場から理解しようとすることが、認知症ケアの基本になります。
記述を見ていくと、日中の過ごし方は、行動の背景を探る手がかりにはなりますが、Mさんは居室では穏やかに過ごしていたので、まず確かめるべき中心ではありません。ほかの利用者が落ち着かなくなったことや、職員が対応に困ったことは、周囲や職員の側から見た出来事です。薬が効かなかったという見方は、薬で行動を抑えようとする発想につながりやすく、本人の思いを置き去りにします。
優先するのは、Mさんが訴えている内容です。家に帰りたいという言葉の裏に、家族や家のことが気になっている、ここがどこかわからず不安だ、といった思いがないかを聴き取ることで、安心につながる関わり方が見えてきます。覚え方としては、認知症の人の行動に出会ったら、まず本人の言葉と思いに立ち返る、と押さえておくと、職員側や周囲側の視点の記述を見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2Mさんの日中の過ごし方:日中の過ごし方は背景を知る材料の1つですが、Mさんは居室では穏やかに過ごしていました。訴えの中身を聴く前に日中の様子から考えるのは、検討の順番として後になります。
- 3ほかの利用者が落ち着かなくなったこと:ほかの利用者への影響は配慮が必要ですが、Mさんの行動を周囲の迷惑という面から見る視点です。本人の不安や思いを理解しないままでは、落ち着きを取り戻す関わりにつながりません。
- 4対応に困ったこと:対応に困ったというのは職員側の受け止めです。ケアの検討は、職員の困りごとからではなく、本人が何に困り、何を求めているのかという本人の立場から始めます。
- 5薬が効かなかったこと:薬の効き目に注目すると、行動を薬で抑える方向に考えが向きやすくなります。入居直後の不安から出た言動である可能性があり、まず本人の訴えを理解することが先です。
出典:第36回 介護福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題47。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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