第111回 午後 問117
看護の統合と実践
夜尿に関する問題
次の文を読み115〜117の問いに答えよ。
午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。
発災から3時間後、地震後に発生した火災現場付近から救出されたA君(6歳)と母親のBさん(32歳)の2人が搬送されてきた。A君は避難時に転倒し、左肘関節付近の腫脹と疼痛を訴えていた。バイタルサインに異常はない。Bさんは避難する際にA君が煙に巻き込まれそうになるところをかばい、髪の一部と鼻毛の一部が焦げていた。右頰部に2 cm×2 cm、右上肢に5 cm×10 cmの紅斑と水疱を認める熱傷を負っていた。バイタルサインに異常はないが、熱傷部位の疼痛を訴えていた。
A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。
看護師の対応として適切なのはどれか。
- 1「お母さんがしっかりしましょう」
- 2「A君が1人になる時間をつくりましょう」
- 3「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」
- 4「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」
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✓ これが正解4「A君が甘えてきたら抱きしめてあげましょう」
解説
災害後に甘える子どもは抱きしめて安心させます。
災害を体験した子どもには、大人のそばから離れない、甘える、夜尿をするなど、年齢より幼い行動に戻る赤ちゃん返り(退行)や、食欲の低下がみられることがあります。これは強い恐怖を体験した後の自然な反応で、安心できる大人とのつながりを通して少しずつ落ち着いていきます。
A君は火災から避難する際に転倒し、母親が自分をかばってけがをする場面を体験しています。好きなお菓子を食べない、母親から離れない、おねしょをするといった様子は、この体験による心の反応と考えられます。このようなときは、甘えてきたら抱きしめるなど、A君の気持ちを受け止めて安心感を与えることが大切です。母親に対しても、これは多くの子どもにみられる反応であることを伝え、不安をやわらげます。お母さんがしっかりしましょうと伝えると、自分もけがをして不安を抱えている母親を追い詰めます。1人になる時間をつくると不安が強まり、水分を控えさせても夜尿の原因である心の不安は解決しません。
したがって、甘えてきたら抱きしめてあげましょうという対応が適切です。災害後の子どもの退行は自然な反応で、安心を与えて受け止める、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「お母さんがしっかりしましょう」:Bさん自身もけがをして入院中で、子どもの変化に戸惑っています。しっかりするよう求めると母親を追い詰めるだけで、A君の不安への具体的な助けにもなりません。
- 2「A君が1人になる時間をつくりましょう」:A君は怖い体験の後で、母親と離れることに強い不安を感じています。あえて1人で過ごす時間をつくると、見捨てられたように感じて不安がいっそう強まります。
- 3「A君に水分を控えるよう声をかけましょう」:おねしょは怖い体験による心の反応として起きていると考えられ、飲む量を減らしても原因は解決しません。水分を控えさせると、かえって体調を崩すおそれがあります。
出典:第111回 看護師国家試験 午後(厚生労働省)問117(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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