第59回 午前 問9
理学療法評価学
50歳の男性。高所から転落し脳挫傷と診断された。入院直後から他者への配慮を欠く言動が多くみられた。家族によると、受傷前は几帳面で温厚な人物であったが、受傷後は著しく自己中心的で粗暴な言動が増え、このままでは同居は難しいとの訴えがあった。この患者に用いる検査で最も優先度が高いのはどれか。
- 1ASIA
- 2FAB
- 3MMSE
- 4Rey複雑図形検査
- 5SLTA
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✓ これが正解2FAB
解説
性格や行動の変化は前頭葉の障害を示し、FABで評価します。
この患者は、頭部外傷のあとに、几帳面で温厚だった人が自己中心的で粗暴になるという、性格や社会的な行動の大きな変化を示しています。こうした人格の変化、脱抑制(気持ちや行動を抑えられないこと)、配慮を欠いた言動は、前頭葉の働きである遂行機能や行動の制御が損なわれたときにみられる特徴です。
FAB(Frontal Assessment Battery)は、概念化、言葉の流暢性、運動の企画、干渉への敏感さ、抑制の制御、自主性という前頭葉の働きを、短時間で調べられる検査です。この患者の症状の中心である前頭葉の機能の低下を直接評価できるので、最も優先して用いる検査になります。
ほかの検査は、脊髄損傷の重症度、全般的な認知機能、視覚的な構成と記憶、失語症を調べるもので、性格や行動の変化という主な問題には焦点が合っていません。覚え方は、性格変化や脱抑制は前頭葉、前頭葉の簡便な検査はFAB、と組にしておくことです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ASIA:ASIAは脊髄損傷の神経学的な高さや重症度を、筋力と感覚の検査から分類する評価です。頭部外傷のあとの性格や行動の変化を評価する目的には使いません。
- 3MMSE:MMSEは見当識、記憶、計算などをまとめてみる認知機能のスクリーニング検査です。前頭葉の障害による性格の変化や抑制の低下は、点数に表れにくいことがあります。
- 4Rey複雑図形検査:Rey複雑図形検査は、複雑な図形を写したり思い出して描いたりして、視覚的な構成能力や記憶を調べる検査です。この患者の中心の問題である人格や行動の変化をとらえる検査ではありません。
- 5SLTA:SLTAは標準失語症検査で、聞く、話す、読む、書くなどの言語の能力を調べます。この患者には言語の障害を示す所見がなく、優先して行う検査には当たりません。
出典:第59回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問9(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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