第59回 午前 問37
理学療法治療学
気管切開患者に対する痰の吸引で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1ファインクラックル〈fine crackles・捻髪音〉を聴取したので吸引する。
- 2無菌的な操作を行う。
- 3成人の吸引圧は80 mmHg程度が推奨される。
- 4吸引カテーテルの先端が気管分岐部に当たらない深さにとどめる。
- 5吸引カテーテルを気道内でピストン運動させる。
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✓ これが正解2無菌的な操作を行う。
✓ これが正解4吸引カテーテルの先端が気管分岐部に当たらない深さにとどめる。
解説
吸引は無菌的に行い、カテーテルは気管分岐部に当たらない深さまでにします。
気管切開をしている患者は、自分で痰を出しにくく、気管吸引で痰を取り除くことがあります。気管吸引は、気道の粘膜を傷つけたり、低酸素や感染を起こしたりする危険を伴う処置なので、必要なときに、清潔に、短く、浅すぎず深すぎず行うことが原則です。日本呼吸療法医学会の気管吸引ガイドライン2013が、こうした手順の目安を示しています。
一つめの正しい記述は、無菌的な操作を行うことです。気管切開の孔から入れるカテーテルは直接下気道に入るため、手指衛生をして滅菌済みのカテーテルを清潔に扱い、細菌を気道に持ち込まないようにします。
二つめは、カテーテルの先端を気管分岐部に当たらない深さにとどめることです。分岐部の粘膜に先端が当たると、粘膜を傷つけたり、強い咳や迷走神経の反射を起こしたりするおそれがあるので、ゆっくり挿入し、当たらない位置で吸引します。
ほかの記述は、吸引を始める判断の根拠、吸引圧の値、カテーテルの動かし方のどれかがガイドラインと合いません。覚え方は、吸引は聴診で太い気道の痰を確かめてから、無菌で、分岐部の手前まで、圧は上げすぎず、カテーテルは前後に動かさない、と流れで覚えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ファインクラックル〈fine crackles・捻髪音〉を聴取したので吸引する。:ファインクラックルは、息を吸う終わりにぱちぱちと聞こえる細かい音で、間質性肺炎などで肺の奥が硬くなると聞こえます。痰がたまったことを示す音ではないため、吸引する理由にはなりません。
- 3成人の吸引圧は80 mmHg程度が推奨される。:ガイドラインでは、成人の吸引圧は最大で20kPa(150mmHg)とし、これを超えないようにするとされています。80mmHg程度を推奨とする記述は、示されている目安と一致しません。
- 5吸引カテーテルを気道内でピストン運動させる。:カテーテルを気道の中で前後に動かすピストン運動は、気管の壁を傷つけるおそれがあります。吸引はカテーテルを回しながらゆっくり引き抜くようにして行います。
出典:第59回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問37(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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