第59回 午前 問79
臨床医学
陽性転移に関する問題
陽性転移はどれか。
- 1医療者が患者に過剰な親近感を抱く。
- 2医療者が患者に怒りの感情を示す。
- 3患者が医療者に好意を寄せる。
- 4患者が医療者を強く軽蔑する。
- 5患者が医療者を嫌悪する。
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✓ これが正解3患者が医療者に好意を寄せる。
解説
患者が医療者に好意や信頼を向けるのが陽性転移です。
転移は、精神分析の考え方で、患者が過去に大切な人(親など)に抱いていた感情を、目の前の治療者に向けてしまう現象です。治療者に好意、信頼、憧れなどの好ましい感情を向ける場合を陽性転移、怒り、敵意、軽蔑などの否定的な感情を向ける場合を陰性転移と呼びます。これと逆に、治療者が患者に対して個人的な感情を向けることを逆転移といいます。
患者が医療者に好意を寄せるのは、患者から医療者へ好ましい感情が向かう場合なので、陽性転移として正しいものです。陽性転移は、治療への協力を得やすくする面がある一方、強くなりすぎると治療の関係を乱すこともあるため、医療者は気づいたうえで適切な距離を保つことが大切です。
ほかの記述は、感情の向きが医療者から患者へ向かう逆転移か、患者から医療者へ向かう否定的な感情である陰性転移です。覚え方は、まず誰から誰への感情かで、患者から医療者なら転移、医療者から患者なら逆転移と分け、次に好ましい感情なら陽性、否定的なら陰性、と二段階で判断することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1医療者が患者に過剰な親近感を抱く。:医療者が患者に過剰な親近感を抱くのは、感情が医療者から患者へ向かっているので逆転移にあたります。転移は、患者が治療者へ感情を向ける現象です。
- 2医療者が患者に怒りの感情を示す。:医療者が患者に怒りの感情を示すのは、医療者の側から患者へ向かう感情なので逆転移にあたります。患者から医療者へ向かう陽性転移とは向きが逆です。
- 4患者が医療者を強く軽蔑する。:患者が医療者を強く軽蔑するのは、患者から医療者へ向かう否定的な感情なので、陰性転移にあたります。好意や信頼のような好ましい感情ではありません。
- 5患者が医療者を嫌悪する。:嫌悪は、相手を避けたい、受け入れたくないという否定の気持ちです。向きは患者から医療者で転移には当たりますが、中身が否定的なので陰性転移と呼ばれます。
出典:第59回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問79(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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