第59回 午後 問19
理学療法評価学
理学療法の臨床実習に参加している学生。脳梗塞による左片麻痺患者の評価を臨床実習指導者と行った。患者は常に右側を向き、左側からの声かけへの反応が遅かった。担当作業療法士の診療記録から収集する検査結果で最も優先度が高いのはどれか。
- 1BIT
- 2FAST
- 3Stroop test
- 4WAIS-Ⅳ
- 5WCST〈Wisconsin Card Sorting Test〉
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✓ これが正解1BIT
解説
右向きと左側への反応の遅れは半側空間無視で、BITの結果を優先します。
常に右側を向き、左側からの声かけへの反応が遅いという様子は、半側空間無視を疑わせます。半側空間無視は、脳の損傷と反対側の空間にある物や人に注意が向かなくなる症状で、右の大脳半球の損傷(左片麻痺)で起こりやすいことが知られています。そのため、作業療法士の診療記録から最初に確かめたいのは、半側空間無視の有無と程度を調べた検査の結果です。BIT(Behavioural Inattention Test、行動性無視検査)は、線分抹消や線分二等分などの机上の課題と、日常生活に近い課題とからなる、半側空間無視の代表的な評価です。
ほかの検査は、認知症の重症度、注意の抑制、知能、遂行機能など別の能力を調べるもので、左側に注意が向かない症状を直接は評価しません。
観察された症状から障害名を推定し、その障害の代表的な検査を選ぶ、という順で考えると迷わずに済みます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2FAST:FASTはAlzheimer型認知症の重症度を日常生活の様子から段階に分ける尺度として知られています。認知症の進み具合を表すもので、左側の空間に注意が向かない症状の有無や程度を確かめる目的には合いません。
- 3Stroop test:赤い色で青という文字を書いたもののように、色と文字の意味が食い違う刺激を使い、注意の抑制を調べる検査です。前頭葉の注意機能を見るもので、片側の空間を見落とす症状の評価としては優先度が低くなります。
- 4WAIS-Ⅳ:成人の知的能力を、言語理解や処理速度などの指標で総合的に測る知能検査です。所要時間も長く、この患者で最初に知りたい左側への注意の障害を直接評価するものではありません。
- 5WCST〈Wisconsin Card Sorting Test〉:カードを色・形・数のどれで分けるかという規則を、反応への正誤の知らせから見つけ出して切り替える検査で、遂行機能を調べます。右を向き続ける症状の評価にはならず、ここで優先して集める結果ではありません。
出典:第59回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問19(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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