第60回 午前 問41
臨床医学
前十字靱帯損傷に関する問題
前十字靱帯損傷で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 1単独損傷が8割以上である。
- 2Lachman testが陽性となる。
- 3再建術は受傷後1年以降が推奨されている。
- 4受傷前レベルへのスポーツ復帰率は9割以上である。
- 5ハムストリングスの収縮により損傷部位の緊張は低下する。
答えと解説を見る
✓ これが正解2Lachman testが陽性となる。
✓ これが正解5ハムストリングスの収縮により損傷部位の緊張は低下する。
解説
Lachman testが陽性となり、ハムストリングスの収縮で緊張は下がります。
前十字靱帯は、膝関節の中で大腿骨に対して脛骨が前方へずれるのを防ぐ靱帯です。損傷すると脛骨の前方への動揺が大きくなるため、膝を軽く曲げた位置で脛骨を前方に引き出すLachman testが陽性となります。また、ハムストリングスは脛骨を後方に引く作用を持つので、収縮すると脛骨の前方への移動が抑えられ、前十字靱帯の緊張は低下します。この性質は、損傷後や再建術後のリハビリテーションで利用されます。
残りの記述は、合併損傷の頻度、手術の時期、競技への復帰の割合についてのもので、いずれも実際の傾向より極端な数字や時期が書かれています。
したがって、正しいのはLachman testが陽性となるという記述と、ハムストリングスの収縮で損傷部位の緊張が低下するという記述です。前十字靱帯は脛骨の前方移動を止める靱帯なので、脛骨を後ろに引くハムストリングスは味方、と作用の向きで覚えると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1単独損傷が8割以上である。:前十字靱帯損傷は、半月板や内側側副靱帯の損傷を同時に起こすことが少なくありません。単独で損傷する例が8割以上を占めるという記述は、実際の傾向と合いません。
- 3再建術は受傷後1年以降が推奨されている。:再建術は、受傷直後の腫れや炎症が落ち着き、膝の曲げ伸ばしが回復したころに行うのが一般的です。受傷後1年以降まで待つことが推奨されているわけではありません。
- 4受傷前レベルへのスポーツ復帰率は9割以上である。:再建術を受けても、受傷前と同じ競技レベルに戻れる人の割合は9割には届かないと報告されています。9割以上という記述は、復帰の実態より高すぎます。
出典:第60回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問41(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)