第61回 午前 問17
理学療法治療学
筋萎縮性側索硬化症に関する問題
45歳の男性。筋萎縮性側索硬化症。発症から半年経過しているが、ADLは自立している。主に下肢の筋力低下および鶏歩が認められる。理学療法で最も適切なのはどれか。
- 1車椅子操作の練習
- 2下肢の漸増抵抗運動
- 3両松葉杖での歩行練習
- 4下肢に対する感覚再教育
- 5プラスチックAFOを装着した歩行練習
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✓ これが正解5プラスチックAFOを装着した歩行練習
解説
下垂足による鶏歩にはプラスチックAFOが適切です。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが少しずつ障害されて筋力が落ちていく進行性の病気で、感覚は保たれるのが特徴です。この患者は発症から半年でADLは自立していますが、下肢の筋力低下と鶏歩がみられます。鶏歩は、足首を上げる筋が弱く足先が垂れるため、つま先を引っかけないように膝を高く上げて歩く歩き方です。
プラスチック製の短下肢装具(AFO)は、軽くて足先の垂れを防ぎ、つまずきや転倒の危険を減らします。今の歩行能力を保ちながら、安全に生活を続けるのに役立ちます。ALSでは、疲れるほどの強い運動は筋をかえって傷めるおそれがあるため、運動の量にも注意が必要です。ほかの肢は、まだ必要のない手段を先取りしたもの、過度な負荷になるもの、保たれている感覚を対象にするものです。
したがって、プラスチックAFOを装着した歩行練習が最も適切です。ALSの鶏歩には軽い装具で歩行を守る、と覚えておきましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1車椅子操作の練習:この患者はADLが自立しており、まだ歩くことができます。車椅子操作の練習は将来必要になる可能性はあっても、今の時期に最も優先して行う理学療法ではありません。
- 2下肢の漸増抵抗運動:漸増抵抗運動は、負荷を段階的に強くしていく筋力増強の方法です。ALSでは過度な負荷が筋をかえって弱らせるおそれがあり、強い抵抗をかける運動は避けるのが原則です。
- 3両松葉杖での歩行練習:両松葉杖での歩行は上肢にも大きな負担がかかり、ALSの患者には疲労が大きい方法です。問題は足先の垂れによる鶏歩なので、まず装具で対応するのが適切です。
- 4下肢に対する感覚再教育:ALSは運動ニューロンの病気で、感覚は保たれるのが特徴です。感覚の障害がないのに感覚再教育を行っても、歩行の問題の改善にはつながりません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午前(厚生労働省)問17(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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