第61回 午後 問7
理学療法治療学
後方進入法に関する問題
65歳の女性。左変形性股関節症。3年前からの左股関節痛に対して、後方進入法で人工股関節置換術を受けた。術後のX線写真(別冊No. 1)を別に示す。手術後3週までの患側下肢に対する理学療法で正しいのはどれか。
〔別冊No. 1〕術後のX線写真(本文だけで成立する:補足)
- 1術後3週は免荷とする。
- 2術後3日はベッド上安静とする。
- 3術後翌日から筋力増強運動を開始する。
- 4立ち上がり動作は股関節内旋位で行う。
- 5術後2週は股関節を45度以上屈曲しない。
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✓ これが正解3術後翌日から筋力増強運動を開始する。
解説
人工股関節置換術後は翌日から筋力増強運動を始めます。
人工股関節置換術(THA)後の理学療法は、早期離床と早期からの運動を基本とし、そのうえで進入法に応じた脱臼肢位を避ける、という2点で判断します。後方進入法では後方の関節包や外旋筋を切開するため、股関節の屈曲・内転・内旋を組み合わせた肢位で後方へ脱臼しやすくなります。
現在のTHAでは、術後早期から荷重を許可されることが多く、長い免荷やベッド上安静は筋力低下や深部静脈血栓症のおそれを高めます。そのため、術後翌日から大腿四頭筋や股関節周囲筋の等尺性運動などの筋力増強運動を始めることが正しい選択です。
一方、立ち上がりで股関節を内旋させると脱臼肢位に近づきます。屈曲制限についても、注意するのは深い屈曲(およそ90度を超える角度)で、45度以上を禁じるほど厳しくはなく、それでは座位や移乗も困難になります。後方進入は屈曲・内転・内旋が危険、前方進入は伸展・外旋が危険、と進入法と脱臼方向をセットで覚えると、肢の正誤を素早く判断できます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1術後3週は免荷とする。:術後3週まで免荷とすると、筋力低下や歩行再獲得の遅れにつながります。一般的なTHAでは術後早期から荷重を許可して歩行練習を進めることが多く、一律の免荷は適切ではありません。
- 2術後3日はベッド上安静とする。:3日間のベッド上安静は、深部静脈血栓症や肺炎、廃用の危険を高めます。術後は可能な範囲で早期に離床し、座位・立位へ進めるのが基本です。
- 4立ち上がり動作は股関節内旋位で行う。:後方進入法では屈曲・内転・内旋の組み合わせで後方脱臼が起こりやすくなります。股関節を内旋させて立ち上がるのは避けるべき動作です。
- 5術後2週は股関節を45度以上屈曲しない。:注意すべきは90度を超えるような深い屈曲で、45度以上を禁じると椅子座位や移乗も行えません。制限が厳しすぎ、実際の指導と合いません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問7(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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