第61回 午後 問9
理学療法治療学
Brinkman指数に関する問題
78歳の男性。肝癌に対する開腹術後2日。術前評価でBMI 17.0、%1秒量70%、%肺活量75%、喫煙歴はBrinkman指数1,000であった。呼吸器合併症を予防するための理学療法で最も適切なのはどれか。
- 1口すぼめ呼吸を指導する。
- 2ベッドの頭側を10度起こす。
- 3満腹時に運動するように指導する。
- 4創痛のため咳嗽をしないように指導する。
- 5術後1週まではベッド上での体位排痰法に努める。
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✓ これが正解1口すぼめ呼吸を指導する。
解説
呼吸器合併症の予防には口すぼめ呼吸の指導が適しています。
上腹部の開腹術後は、痛みや横隔膜の機能低下で浅い呼吸になり、無気肺や肺炎といった呼吸器合併症が起こりやすくなります。この症例は高齢で低栄養(BMI 17.0)、%1秒量70%と閉塞性の換気障害を思わせる所見があり、Brinkman指数1,000の重喫煙歴もあるため、合併症の危険はさらに高い状態です。
口すぼめ呼吸は、口をすぼめてゆっくり息を吐くことで気道内の圧を保ち、気道の虚脱を防いで呼気を十分に出しやすくする方法です。呼吸のリズムを整え、ゆっくり深い呼吸を促すことにもつながるため、閉塞性の要素をもつ術後患者への指導として適しています。
一方、ベッドの頭側は横隔膜が下がりやすいよう30度以上起こすのが一般的で、10度では足りません。満腹時は腹部が張って横隔膜の動きを妨げます。咳嗽を控えさせると痰がたまって無気肺の原因になり、創部を手や枕で押さえて咳をする方法を指導します。また術後は早期離床が合併症予防の柱で、1週もベッド上にとどめるのは逆効果です。術後の呼吸理学療法は、深い呼吸・有効な咳・早期離床の3本柱と覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2ベッドの頭側を10度起こす。:頭側を10度起こす程度では、腹部臓器が横隔膜を押し上げたままで換気の改善は乏しくなります。術後の呼吸器合併症予防では30度以上のセミファウラー位などが用いられます。
- 3満腹時に運動するように指導する。:満腹時は胃が張って横隔膜の下降が妨げられ、息切れが強まります。運動は食直後を避けて行うよう指導するのが一般的です。
- 4創痛のため咳嗽をしないように指導する。:咳を控えると気道分泌物が排出されず、無気肺や肺炎の原因になります。創部を手や枕で押さえて痛みを和らげながら咳をする方法を指導します。
- 5術後1週まではベッド上での体位排痰法に努める。:術後は早期離床が呼吸器合併症の予防の中心です。1週間もベッド上で体位排痰を続けると、離床が遅れて廃用や合併症の危険が高まります。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問9(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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