第61回 午後 問20
臨床医学
復唱に関する問題
61歳の女性。脳梗塞による失語症。言語理解は良好である。発語は流暢であるが錯語や保続は認められた。呼称では「時計」を「ト、トチ、、、」と誤りに気づき自己修正を繰り返すが、失敗に終わる。復唱も不良である。失語症のタイプで正しいのはどれか。
- 1Broca失語
- 2Wernicke失語
- 3健忘性失語
- 4全失語
- 5伝導失語
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✓ これが正解5伝導失語
解説
流暢で理解良好、復唱不良と接近行為があるのは伝導失語です。
失語症のタイプは、発話の流暢さ、言語理解、復唱の3つを組み合わせて見分けます。この症例は、言語理解が良好で、発語は流暢、錯語があり、復唱が不良です。さらに、呼称で誤りに気付いて何度も言い直そうとする様子(音の誤りを自分で直そうとする接近行為)が見られます。
この組み合わせは伝導失語の特徴です。伝導失語は、言葉を理解する領域と話す領域を結ぶ経路(弓状束など)の障害で起こるとされ、理解も発話の流れも保たれる一方で、聞いた言葉をそのまま繰り返す復唱がとくに苦手になります。自分の誤りに気付けるので、正しい音に近づけようと言い直しを繰り返すのが典型です。
Broca失語は発話が非流暢でたどたどしく、Wernicke失語は流暢ですが理解が悪く、誤りへの気付きも乏しいのが特徴です。健忘性失語は流暢で理解も復唱も良好で、言葉が出てこない喚語困難が中心です。全失語は理解も発話も重く障害されます。流暢・理解良好・復唱だけ不良なら伝導失語、と3軸の表で覚えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Broca失語:Broca失語は発話がたどたどしく努力的な非流暢型で、理解は比較的保たれます。この症例のように発語が流暢という点と合いません。
- 2Wernicke失語:Wernicke失語は流暢に話せますが言葉の理解が重く障害され、自分の誤りにも気付きにくい失語です。理解良好で自己修正を試みるこの症例とは異なります。
- 3健忘性失語:健忘性失語は流暢で理解も復唱も保たれ、物の名前が思い出せないことが中心の軽い失語です。復唱が不良という点が合いません。
- 4全失語:全失語は理解・発話・復唱のすべてが重く障害されるタイプです。言語理解が良好で流暢に話せるこの症例には当てはまりません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問20(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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