第61回 午後 問19
理学療法治療学
二分脊椎に関する問題
8歳の男児。二分脊椎。麻痺レベルはL5。装具なしでも歩行可能であるが、バランスを崩し不安定である。歩行を安定させるため筋力増強運動を行う。増強する筋で最優先するのはどれか。
- 1腸腰筋
- 2大殿筋
- 3中殿筋
- 4大腿四頭筋
- 5前脛骨筋
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✓ これが正解3中殿筋
解説
L5レベルの二分脊椎では中殿筋の強化が歩行の安定に最優先です。
二分脊椎の麻痺レベルがL5の児では、L5髄節までの神経支配をもつ筋が働き、それより下の仙髄が主に支配する筋は弱くなります。判断の軸は、各筋の主な支配髄節と、歩行中に骨盤を左右に安定させる役割の筋はどれかという点です。
中殿筋は主にL4〜S1の上殿神経に支配され、L5レベルでは働きが残るものの十分に強いとは限りません。中殿筋は片脚で立つときに骨盤が反対側へ落ちないように支える筋で、弱いと体幹を左右に大きく揺らすTrendelenburg歩行になり、バランスを崩しやすくなります。残っている中殿筋の力を高めることが、装具なしで歩くこの児の左右の安定に最も直結します。
腸腰筋や大腿四頭筋は主に腰髄の上部(L2〜L4)に支配され、L5レベルの児では通常よく働いているため、最優先で強化する必要は低い筋です。大殿筋は主にL5〜S2に支配されて仙髄の比重が大きく、このレベルでは強化しても十分な力を得にくい筋です。前脛骨筋も働きは残りますが、足関節の背屈筋で、骨盤の左右の動揺を抑える役割はありません。麻痺レベルから使える筋を絞り、そのうえで歩行の不安定さの原因になる筋を選ぶ、という順で考えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1腸腰筋:腸腰筋は主にL2〜L3付近の腰髄に支配され、L5レベルの二分脊椎ではよく働いていることが多い筋です。股関節を曲げる筋で、立脚期の左右の安定には直接関わりません。
- 2大殿筋:大殿筋は仙髄(S1〜S2)の比重が大きい下殿神経に支配され、L5レベルでは弱化しやすい筋です。強化しても実用的な力を得にくく、左右の動揺を抑える主役でもありません。
- 4大腿四頭筋:大腿四頭筋はL2〜L4の大腿神経支配で、このレベルではおおむね保たれます。膝折れを防ぐ筋ですが、骨盤が横に落ちる不安定さへの対策にはなりません。
- 5前脛骨筋:前脛骨筋はL4〜L5の深腓骨神経支配で働きは残りますが、足関節を背屈させる筋です。片脚立ちで骨盤を水平に保つ働きはないため最優先にはなりません。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問19(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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