第61回 午後 問34
理学療法治療学
図の装具で治療する疾患はどれか。
装具の図:
- 乳児の胸に巻いたバンドから両肩と両下肢へ吊りひもが伸び、両股関節を屈曲・開排した位置で下腿から足部をベルトで留めている。
- 1脳性麻痺
- 2Down症候群
- 3先天性内反足
- 4筋ジストロフィー
- 5発育性股関節形成不全
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✓ これが正解5発育性股関節形成不全
解説
乳児の股関節を屈曲・開排位に保つ装具は発育性股関節形成不全に使います。
図の装具は、胸のバンドから吊りひもで両下肢を支え、股関節を屈曲・開排(股を開いた)位置に保つもので、リーメンビューゲル装具とよばれます。判断の軸は、この肢位がどの病気の治療に役立つかです。
発育性股関節形成不全(以前の先天性股関節脱臼)では、大腿骨頭が臼蓋(骨盤側の受け皿)から外れたり、外れかかったりしています。股関節を屈曲・開排位に保つと、下肢の重みと自発的な蹴る動きによって骨頭が臼蓋の中へ戻りやすくなり、整復と臼蓋の発育が促されます。乳児期の発育性股関節形成不全の代表的な保存療法がこの装具です。
脳性麻痺では筋緊張や運動の発達に対する装具や姿勢保持具が使われますが、この股関節の吊り装具は用いません。Down症候群は筋緊張の低さや関節のゆるさが特徴で、この装具の対象ではありません。先天性内反足はギプスによる矯正とその後の足部外転装具などで治療します。筋ジストロフィーでは下肢装具や体幹装具が使われますが、乳児期に股関節を開排位に保つ治療はしません。屈曲・開排位の吊りひも装具=乳児の股関節の整復、と結び付けて覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1脳性麻痺:脳性麻痺には筋緊張や姿勢の問題に応じた短下肢装具や座位保持装置などを使います。股関節を屈曲・開排位に吊る装具で治療する病気ではありません。
- 2Down症候群:Down症候群は筋緊張の低さや関節のゆるさ、発達の遅れが特徴です。この装具で股関節を整復する対象の病気ではありません。
- 3先天性内反足:先天性内反足は足部の変形で、ギプスによる段階的な矯正や足部外転装具で治療します。股関節に用いるこの装具の対象ではありません。
- 4筋ジストロフィー:筋ジストロフィーは筋が徐々に弱くなる病気で、歩行や姿勢を支える下肢装具や体幹装具が使われます。乳児の股関節の整復に用いるこの装具とは目的が違います。
出典:第61回 理学療法士国家試験 午後(厚生労働省)問34(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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