第26回 問題14
現代の精神保健の課題と支援
勤労者の過労自殺に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 1過労死等防止対策推進法では,政府に対し,過労死等の防止のための対策に関する大綱を定めることとしている。
- 22018年(平成30年)の労働基準法の改正において,時間外労働の上限が月90時間・年720時間に規制された。
- 3従業員支援プログラム(EAP)は,職場の管理監督者が行う過労自殺防止を含めた健康相談プログラムである。
- 4自殺未遂者に対する産業保健スタッフの支援は,自殺対策のポストベンションに該当する。
- 5労働安全衛生法では,業務による心理的負荷による精神障害を原因とする自殺を過労死等の一つとして規定している。
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✓ これが正解1過労死等防止対策推進法では,政府に対し,過労死等の防止のための対策に関する大綱を定めることとしている。
解説
過労死等防止対策推進法は、政府に大綱を定めることを求めています。
この問は、過労自殺を含む過労死等への対策が、どの法律や仕組みに基づいているかを区別する問です。法律の名前と、その法律が定めている内容の組み合わせを確かめることが判断の軸になります。
過労死等防止対策推進法は、過労死等に関する調査研究などを行い、過労死等の防止のための対策を推進するため、2014年に制定されました。第7条第1項は、政府は、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、過労死等の防止のための対策に関する大綱を定めなければならない、と規定しています。大綱を定めることとしているという記述は、この条文どおりで正しい内容です。
なお、同法第2条は過労死等を定義しており、業務上の強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡も、過労死等に含めています。この定義を置いているのは労働安全衛生法ではなく、過労死等防止対策推進法です。
見分け方として、過労死等の定義と大綱は過労死等防止対策推進法、時間外労働の上限は労働基準法、と法律ごとに役割を分けて覚えると、法律名を入れ替えた記述に気付きやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 22018年(平成30年)の労働基準法の改正において,時間外労働の上限が月90時間・年720時間に規制された。:2018年の労働基準法の改正による時間外労働の上限は、原則が月45時間・年360時間で、特別な事情があっても年720時間、休日労働を含めて単月100時間未満などとされました。月90時間という上限は定められていません。
- 3従業員支援プログラム(EAP)は,職場の管理監督者が行う過労自殺防止を含めた健康相談プログラムである。:従業員支援プログラム(EAP)は、心理職などの専門家が、従業員の心の健康や仕事・生活上の悩みの相談に応じる仕組みで、外部の機関に委託されることも多いものです。管理監督者自身が行う健康相談を指す語ではありません。
- 4自殺未遂者に対する産業保健スタッフの支援は,自殺対策のポストベンションに該当する。:ポストベンションは、自殺が起きてしまった後に、遺された家族や同僚などへの心のケアを行い、影響の連鎖を防ぐ取り組みを指します。自殺未遂者本人への支援は、危機への介入や再企図の防止として扱われます。
- 5労働安全衛生法では,業務による心理的負荷による精神障害を原因とする自殺を過労死等の一つとして規定している。:精神障害を原因とする自殺を過労死等に含める定義は、過労死等防止対策推進法第2条に置かれています。労働安全衛生法にこの定義があるとする点で、法律名を取り違えています。
出典:第26回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題14。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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