第27回 問題30
ソーシャルワークの理論と方法(専門)
次の記述のうち,離転職を繰り返す精神障害者に対して精神保健福祉士が行うナラティブアプローチとして,適切なものを1つ選びなさい。
- 1クライエント自身の職場適応の課題を細分化し整理して,短期集中で解決を図る。
- 2クライエントの語りから,問題となった出来事と本人を切り離す。
- 3クライエントの離転職にまつわる思い込みのストーリーにある誤りを指摘する。
- 4クライエントとの対話を通して離転職要因を1つに特定する。
- 5離転職した経緯の語りから,成長を促すために機関で可能な支援の展開を図式化する。
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✓ これが正解2クライエントの語りから,問題となった出来事と本人を切り離す。
解説
ナラティブアプローチでは、問題と本人を切り離す外在化を行います。
ナラティブアプローチは、人は自分の人生を物語として理解しているという考えに立ち、本人の語りを通して、生きづらさを生む物語を新しい物語に書き換えていくことを支える方法です。ホワイトとエプストンらのナラティブ・セラピーの考え方が知られています。
その中心的な技法の一つが外在化です。問題を本人の性格や欠点として語るのではなく、本人の外にあるものとして名前を付け、本人と問題を切り離して扱います。離転職を繰り返す人なら、自分は何をやってもだめな人間だという語りを、本人を困らせている出来事やパターンとして外に出し、それとどう付き合ってきたかを一緒に眺めます。そうすることで、問題にのみ込まれずに対処できた経験、つまりこれまでの物語と違う例外が見えてきて、新しい物語が生まれやすくなります。正解の記述はこの外在化の説明です。
ナラティブアプローチでは、援助者は本人の語りの誤りを正す専門家ではなく、本人とともに物語を探る協働者の立場をとります。原因を一つに決めたり、機関の側で支援の筋道を描いたりすることも、この考え方とは合いません。
見分け方は、本人の語りを尊重し、問題を人から切り離す動きがあるかを確かめることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1クライエント自身の職場適応の課題を細分化し整理して,短期集中で解決を図る。:課題を細かく分けて短い期間で集中的に解決を図るのは、課題中心アプローチなどの考え方に近い方法です。語りを通して物語を書き換えるナラティブアプローチの特徴ではありません。
- 3クライエントの離転職にまつわる思い込みのストーリーにある誤りを指摘する。:本人の物語の誤りを指摘して正すのは、援助者が正解をもつ専門家として振る舞うことになります。ナラティブアプローチは、本人の語りを尊重し、ともに新しい物語を探る立場をとります。
- 4クライエントとの対話を通して離転職要因を1つに特定する。:離転職の要因を一つに決めつけるのは、原因と結果を一本の線で結ぶ考え方です。ナラティブアプローチは、さまざまな語りの可能性を広げることを大切にします。
- 5離転職した経緯の語りから,成長を促すために機関で可能な支援の展開を図式化する。:機関でできる支援の流れを援助者が図に描くのは、支援者側の筋書きを示すことになります。本人の語りから新しい物語を見いだすというナラティブアプローチの考え方とは異なります。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題30。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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