第27回 問題46
精神保健福祉制度論
次の事例を読んで,問題46から問題48までについて答えなさい。
〔事 例〕
Aさん(40歳,男性)はB県C市に在住し,5年前に父親の会社を継ぎ,Aさんを含む社員5名で製造業を営んでいた。Aさんは独身できょうだいはおらず,両親は既に亡くなっていて交流のある親戚もいない。
Aさんは真面目な性格で朝から晩まで仕事をするも,不況のあおりを受けて近年は赤字続きで,自分のせいで会社が潰れてしまうと悩んでいた。最近では食事量が減って,見るからにやつれたAさんの状況を見て社員はとても心配していた。さらに「死んでしまいたい」という発言も多くみられるようになり,社員は精神科受診を勧めた。Aさんは当初受診を拒否していたが,社員らに連れられて渋々D精神科病院を受診した。精神保健指定医である医師は入院治療の必要性を認めたが,Aさんは頑なに入院を拒否した。身寄りもないことからC市長同意による入院の手続が行われた。(問題46)
「精神保健福祉法」に基づきD精神科病院の管理者から選任されたE精神保健福祉士はAさんに自己紹介をして,今後のことなどについて丁寧な説明を行った。(問題47)
その後もE精神保健福祉士はAさんとの面談を定期的に行うなど支援を継続した。
Aさんの経過は良好で3か月後には症状は安定していた。主治医からも退院可能であると判断がなされたため,E精神保健福祉士はAさんの退院支援委員会開催の準備を行った。落ち着いてきたAさんは「会社の経営が厳しいので,医療費の負担を少しでも軽くしたい」と面談の中で話した。そこでE精神保健福祉士は,Aさんの退院後の精神科の通院医療費の負担軽減のために,「障害者総合支援法」に規定されているサービス利用を提案したところ,Aさんも是非利用したいと述べた。(問題48)
(注) 「障害者総合支援法」とは,「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」のことである。
次のうち,この入院形態として,正しいものを1つ選びなさい。
- 1任意入院
- 2医療保護入院
- 3緊急措置入院
- 4措置入院
- 5応急入院
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✓ これが正解2医療保護入院
解説
身寄りがなく市長の同意で入院したので、医療保護入院です。
この問は、事例のうち(問題46)の印がある段落、Aさんが入院に至った場面を扱います。決め手は三つあります。精神保健指定医が入院治療の必要性を認めたこと、Aさんは頑なに入院を拒否したこと、そして身寄りがないためにC市長の同意で入院の手続が行われたことです。
精神保健福祉法第33条は医療保護入院を定めています。第1項は、精神保健指定医の診察の結果、医療と保護のために入院の必要がある精神障害者で、本人の同意に基づく入院が行われる状態にない人について、家族等のうちいずれかの者の同意があるときは、本人の同意がなくても入院させることができるとしています。第2項は、家族等がない場合などには、その人の居住地を管轄する市町村長の同意があるときに入院させることができるとしています。Aさんは独身で、きょうだいもおらず、両親も亡くなり、交流のある親戚もいません。家族等がいないため、居住地のC市の市長が同意したという流れは、この第2項に当たります。
なお、医療保護入院では、6か月以内で厚生労働省令で定める期間の範囲内の入院の期間を定めることとされています。
見分け方は、本人の同意があれば任意入院、家族等か市町村長の同意なら医療保護入院、自傷他害のおそれで知事の権限なら措置入院、と同意の主体で区別することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1任意入院:任意入院は、本人の同意に基づいて行われる入院です。Aさんは頑なに入院を拒否しているので、本人の同意を前提とする任意入院には当たりません。
- 3緊急措置入院:緊急措置入院は、自傷他害のおそれが著しく急を要する場合に、指定医1名の診察で都道府県知事が72時間を限度に行う入院です。市長の同意による手続とは異なります。
- 4措置入院:措置入院は、2名以上の指定医の診察で自傷他害のおそれがあると一致した場合に、都道府県知事の権限で行われる入院です。市長が同意する仕組みではありません。
- 5応急入院:応急入院は、急速を要し家族等の同意を得ることができない場合に、応急入院指定病院で72時間を限度に行う入院です。市長の同意を得て手続が行われた事例には当たりません。
出典:第27回 精神保健福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題46。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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