第36回 問題12
心理学と心理的支援
心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状に関する次の記述のうち,回避症状の事例として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ささいな事でもひどく驚いてしまうようになった。
- 2事故が起きたのは全て自分のせいだと考えてしまう。
- 3つらかった出来事を急に思い出すことがある。
- 4交通事故にあった場所を通らないようにして通勤している。
- 5大声を聞くと虐待されていたことを思い出し苦しくなる。
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✓ これが正解4交通事故にあった場所を通らないようにして通勤している。
解説
事故の場所を避けて通勤するのは、PTSDの回避症状です。
心的外傷後ストレス障害(PTSD)は、命が脅かされるような強い恐怖の体験の後に、心身の症状が続く状態です。主な症状は4つのまとまりで整理されます。つらい出来事が突然よみがえる侵入症状(再体験)、出来事を思い出させるものを避ける回避症状、自分や世界についての否定的な考えや気分が続く認知と気分の変化、そしてささいなことにも驚くなど神経が張りつめる覚醒の高まりです。
回避症状は、出来事に関係する場所・人・会話・考えなどをできるだけ避けようとすることです。交通事故にあった場所を通らないように通勤経路を変えるのは、出来事を思い出させる場所を避ける行動そのものです。したがってこれが回避症状の例として最も適切です。
ほかの記述も、PTSDでみられる症状ですが、まとまりが違います。ひどく驚きやすくなるのは覚醒の高まり、何でも自分のせいだと考えるのは認知と気分の変化、急に思い出すことや、大声をきっかけに思い出して苦しくなることは侵入症状に当たります。
見分け方は、避ける・遠ざける行動が中心なら回避、思い出してしまうなら侵入、と症状の向きで区別することです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ささいな事でもひどく驚いてしまうようになった。:ささいなことでもひどく驚くようになるのは、神経が張りつめて刺激に過敏に反応する覚醒の高まりの症状です。出来事を避けようとする回避とは違うまとまりです。
- 2事故が起きたのは全て自分のせいだと考えてしまう。:事故が全て自分のせいだと考えてしまうのは、自分や出来事についての否定的なとらえ方が続く、認知と気分の変化に当たる症状です。回避の行動ではありません。
- 3つらかった出来事を急に思い出すことがある。:つらかった出来事を不意に思い出してしまうのは、出来事が頭の中によみがえる侵入症状(再体験)です。思い出させるものを避ける回避とは向きが逆です。
- 5大声を聞くと虐待されていたことを思い出し苦しくなる。:大声をきっかけに虐待の記憶がよみがえり苦しくなるのは、出来事を思い出させる刺激で強い苦痛が生じる侵入症状です。避ける行動を示すものではありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題12。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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