第36回 問題64
貧困に対する支援
事例を読んで,生活保護法の定める内容に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
単身で2LDKの賃貸マンション暮らしのBさん(44歳)は,建設業に従事していたが半年前に自宅で骨折をして仕事を続けられなくなり,退職した。Bさんには遠く離れた故郷に父親(75歳)がいるが,父親も生活に余裕がない。Bさんは生活費が底をつき,生活保護を受給し,リハビリに励むこととなった。その後Bさんはリハビリが終わり,医師から軽労働なら就労できる状態だと診断された。求職活動をしたものの,年齢や技能の関係で仕事は見つかっていない。そこでBさんは今よりもう少し安い家賃のアパートに移ろうかと考えている。
- 1就労に必要な技能修得の費用が生業扶助から支給される。
- 2アパートに転居する際の敷金が生活扶助から支給される。
- 3父親から仕送りを受けると,その金額の多寡にかかわらず保護は廃止される。
- 4医師から就労できる状態だと診断された時点で,保護は廃止される。
- 5父親は後期高齢者であるため,Bさんを扶養する義務はない。
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✓ これが正解1就労に必要な技能修得の費用が生業扶助から支給される。
解説
就労に必要な技能修得の費用は、生業扶助から支給されます。
事例の決め手は、生活保護を受けているBさんが、リハビリを終えて軽労働なら就労できると診断されたものの、年齢や技能の関係で仕事が見つかっていないことです。判断の軸は、生活保護法の扶助の種類と、保護の補足性や扶養との関係です。
生活保護法第17条は、生業扶助は、困窮のため最低限度の生活を維持することのできない者又はそのおそれのある者に対して、生業に必要な資金・器具・資料、生業に必要な技能の修得、就労のために必要なもの、の範囲内で行うと定めています。ただし、これによってその者の収入を増加させ、又はその自立を助長することのできる見込のある場合に限るとされています。仕事を見つけるために新しい技能を身につけることは、Bさんの収入を増やし自立につながる見込みがあるので、その費用は生業扶助の技能修得費として支給されます。
覚え方として、働くための費用は生業扶助、住まいに関わる費用は住宅扶助、日々の暮らしの費用は生活扶助、と目的で扶助の種類を振り分けると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2アパートに転居する際の敷金が生活扶助から支給される。:転居の際の敷金などは、住まいに関わる費用として住宅扶助から支給されます。転居が必要と認められる場合に出るもので、生活扶助の費目ではありません。
- 3父親から仕送りを受けると,その金額の多寡にかかわらず保護は廃止される。:父親からの仕送りは収入として認定され、その額を差し引いた分の保護が行われます。仕送りがあるだけで、額の多寡にかかわらず保護が廃止されるわけではありません。
- 4医師から就労できる状態だと診断された時点で,保護は廃止される。:就労できると診断されても、実際に仕事が見つからず収入がなければ困窮は続きます。診断の時点で直ちに保護が廃止されることはなく、求職活動を続けながら保護を受けます。
- 5父親は後期高齢者であるため,Bさんを扶養する義務はない。:父と子は直系血族で、民法上の扶養義務者です。後期高齢者であることを理由に扶養義務がなくなることはありません。ただし扶養は保護に優先するもので、保護の要件ではありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題64。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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