第36回 問題81
権利擁護を支える法制度
事例を読んで,Gさんの成年後見監督人に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
知的障害のあるGさん(30歳)は,兄であるHさんが成年後見人に選任され支援を受けていた。しかし,数年後にGさんとHさんの関係が悪化したため,成年後見監督人が選任されることとなった。
- 1Gさんは,成年後見監督人の選任請求を家庭裁判所に行うことができない。
- 2Hさんの妻は,Hさんの成年後見監督人になることができる。
- 3GさんとHさんに利益相反関係が生じた際,成年後見監督人はGさんを代理することができない。
- 4成年後見監督人は,Hさんが成年後見人を辞任した場合,成年後見人を引き継がなければならない。
- 5成年後見監督人は,GさんとHさんの関係がさらに悪化し,Hさんが後見業務を放置した場合,Hさんの解任請求を家庭裁判所に行うことができる。
答えと解説を見る
✓ これが正解5成年後見監督人は,GさんとHさんの関係がさらに悪化し,Hさんが後見業務を放置した場合,Hさんの解任請求を家庭裁判所に行うことができる。
解説
後見人が業務を放置すれば監督人は解任を請求できます。
この問は、民法の後見監督人の規定(第849条〜第852条)と、後見人の解任の規定(第846条)で判断します。後見監督人は、家庭裁判所が必要と認めるときに選任され、後見人の事務を監督する人です。第846条は、後見人に不正な行為、著しい不行跡その他後見の任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所が後見監督人、被後見人、その親族、検察官の請求により、または職権で、後見人を解任できるとしています。
事例では、兄のHさんが成年後見人で、GさんとHさんの関係が悪化したため成年後見監督人が選ばれます。関係がさらに悪化し、Hさんが後見業務を放置すれば、任務に適しない事由に当たりえます。このとき成年後見監督人は、家庭裁判所にHさんの解任を請求できます。監督の役割を果たすための大切な権限です。
ほかの記述は、被後見人本人による選任請求、後見人の配偶者の欠格、利益相反のときの代表、後見人が欠けたときの対応について、条文の中身と逆になっています。覚え方は、監督人は後見人の身内(配偶者・直系血族・兄弟姉妹)はなれない、利益相反では本人を代表する、後見人が欠けたら自分が引き継ぐのではなく選任を請求する、と3点で押さえることです。
なお、2026年6月に民法等の一部を改正する法律が公布され、後見と保佐を廃止して補助に一元化する見直しが、公布から2年6月以内の政令で定める日に施行される予定です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1Gさんは,成年後見監督人の選任請求を家庭…:後見監督人は、被後見人、その親族、後見人の請求によって、または家庭裁判所の職権で選任されます。被後見人であるGさん本人も選任を請求できるので、できないとする記述は誤りです。
- 2Hさんの妻は,Hさんの成年後見監督人にな…:後見人の配偶者、直系血族、兄弟姉妹は後見監督人になれないと民法第850条が定めています。身内同士では監督が働きにくいためで、Hさんの妻はHさんの監督人になれません。
- 3GさんとHさんに利益相反関係が生じた際,…:後見人と被後見人の利益が相反する行為については、後見監督人が被後見人を代表することが監督人の職務とされています。Gさんを代理できないとする記述は逆です。
- 4成年後見監督人は,Hさんが成年後見人を辞…:後見人が欠けた場合の監督人の職務は、遅滞なく後任の選任を家庭裁判所に請求することです。監督人自身が成年後見人を引き継ぐ義務はありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題81。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)