第36回 問題117
ソーシャルワークの理論と方法
事例を読んで,ひきこもり地域支援センターのF職員(社会福祉士)による,グループワークのこの段階における関わりとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Fは,ひきこもり地域支援センターが1か月前に開設した,ひきこもり状態にある人たちのための居場所であるカフェで,グループへの支援を行っている。Fは2年前から根気強く訪問していたGさん(38歳,男性)にもこのグループへ参加しないかと声をかけたところ,「どんなメンバーで,どんなことをしているのか」と興味を示し,久しぶりに外出し,カフェに初めて姿を見せた。Gさんは対人関係のつまずきからひきこもり状態となった経緯があり,人見知りがある。
- 1人見知りが激しいことを知っているので,他のメンバーに対応を委ねる。
- 2関係づくりができていることを活かしたいので,Gさんと二人で会話を続ける。
- 3以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをする。
- 4メンバー同士の関係を活用し,Gさんの長いひきこもり体験をメンバー間で分かち合うよう促す。
- 5Gさんの過去の対人関係をメンバー間で振り返り,気持ちの分かち合いを促す。
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✓ これが正解3以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをする。
解説
初参加のGさんを既存のメンバーとつなぐ橋渡しが開始期の関わりです。
グループワークは、準備期、開始期、作業期、終結期といった段階に分けて考えられ、段階ごとにワーカーの役割が変わります。事例の決め手は、Gさんがこの日初めてカフェに姿を見せたこと、そして対人関係のつまずきからひきこもった経緯と人見知りがあることです。新しいメンバーがグループに加わったばかりの時期は開始期にあたり、ワーカーには、メンバーが安心してグループに入れるよう関係をつなぐ役割が求められます。
Fは2年間の訪問を通じてGさんと信頼関係を築いています。その関係を土台にしつつ、以前から参加している他のメンバーと話せるように橋渡しをするのが、この段階で最も適切な関わりです。ワーカーが間に入ることで、人見知りのあるGさんも無理なく会話の輪に入ることができ、メンバー同士が支え合うグループの力が働き始めます。Gさんがどんなメンバーでどんなことをしているのかに興味を示して来所した点からも、まず他のメンバーとの出会いを支えることが本人の関心に沿っています。
段階を問う問では、まだ関係ができていない時期に深い体験の共有を求める対応は早すぎると考えます。開始期はつなぐ、作業期は分かち合いを深める、と段階と役割を組にして覚えておくと見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1人見知りが激しいことを知っているので,他のメンバーに対応を委ねる。:人見知りが強いと分かっていながら他のメンバーに任せきりにすると、初めて来たGさんは場になじめず孤立しかねません。次の参加にもつながりにくくなります。
- 2関係づくりができていることを活かしたいので,Gさんと二人で会話を続ける。:Fと二人だけで話し続けると、ワーカーとの一対一の関係にとどまり、メンバー同士の相互作用が生まれません。グループに参加した意味が生かされない関わりです。
- 4メンバー同士の関係を活用し,Gさんの長いひきこもり体験をメンバー間で分かち合うよう促す。:長いひきこもり体験の分かち合いは、メンバー間に信頼が育った作業期で扱う深い話題です。来たばかりのGさんにいきなり求めるのは負担が大きすぎます。
- 5Gさんの過去の対人関係をメンバー間で振り返り,気持ちの分かち合いを促す。:対人関係でつまずいた経緯のあるGさんに、初日から過去の人間関係をメンバーの前で振り返らせるのは侵襲的です。グループへの安心感を損ねるおそれがあります。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題117。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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