第36回 問題147
刑事司法と福祉
事例を読んで,この場合の仮釈放の手続きに関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
裁判所の判決で3年の懲役刑を言い渡されて,刑事施設に収容されていたJさんは,仮釈放の審理の対象となった。
- 1仮釈放の要件として,刑の執行から最短でも2年を経過している必要がある。
- 2仮釈放の要件として,改悛の状があることがある。
- 3仮釈放を許す処分を決定するのは,地方裁判所の裁判官である。
- 4仮釈放の対象となるのは,初めて刑事施設に入った者に限られる。
- 5仮釈放の期間中,Jさんの希望により,保護観察が付される。
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✓ これが正解2仮釈放の要件として,改悛の状があることがある。
解説
仮釈放には、改悛の状があることが要件として求められます。
仮釈放は、刑事施設に収容されている人を、刑期が満了する前に一定の条件の下で社会に戻し、保護観察を受けながら社会での生活に移っていけるようにする制度です。この問は、刑法と更生保護法に定められた仮釈放の要件と手続きで判断します。
出題当時の刑法は、懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができると定めていました。改悛の状とは、自分の罪を悔い、更生しようとする意欲がみられ、再び罪を犯すおそれが小さいと認められる状態のことです。したがって、仮釈放の要件として改悛の状があることがあるという記述が最も適切です。
手続きの面では、仮釈放を許す処分は、更生保護法により地方更生保護委員会の決定で行われます。また、仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中は保護観察に付されます。Jさんの刑期は3年なので、刑期の3分の1にあたる1年を経過していれば、形式的な期間の要件は満たします。
仮釈放の問では、要件は改悛の状と刑期の3分の1、決めるのは地方更生保護委員会、期間中は必ず保護観察、と3点を押さえておくと見分けやすくなります。出題当時の刑法では懲役又は禁錮に処せられた者が対象と書かれていました。現在は2025年6月1日施行の刑法等の改正により懲役と禁錮が拘禁刑に一本化され、拘禁刑に処せられた者が対象と定められています。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1仮釈放の要件として,刑の執行から最短でも2年を経過している必要がある。:有期刑の場合、仮釈放の形式的な要件はその刑期の3分の1を経過することです。3年の刑なら1年が目安となり、最短でも2年を経過する必要があるという記述は誤りです。
- 3仮釈放を許す処分を決定するのは,地方裁判所の裁判官である。:仮釈放を許す処分は、更生保護法に基づいて地方更生保護委員会の決定で行われます。裁判所の裁判官が決めるのではなく、行政の機関が判断する仕組みです。
- 4仮釈放の対象となるのは,初めて刑事施設に入った者に限られる。:刑法の要件は、改悛の状があることと一定の期間の経過で、初めて刑事施設に入った者に限るという定めはありません。受刑の回数で対象が絞られることはありません。
- 5仮釈放の期間中,Jさんの希望により,保護観察が付される。:更生保護法は、仮釈放を許された者は仮釈放の期間中、保護観察に付すると定めています。本人の希望によって付されるかどうかが決まるものではありません。
出典:第36回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題147。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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