第37回 問題11
心理学と心理的支援
事例を読んで,マイクロカウンセリングのかかわり行動や基本的傾聴技法に基づいた面接の最初の段階の応答として,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
認知症のある親の介護について負担を感じている相談者が,地域包括支援センターを訪れ,社会福祉士が面接を行った。相談者は「何度も同じことを聞いてくるのでイライラして,つい強い口調で怒ってしまう」と訴えた。
- 1「同じことを聞かれても,いつも初めてのように答えるといいですよ」
- 2「それは適切な行動ではないですよね」
- 3「私もあなたと同じような経験をしたので,あなたの気持ちがよくわかります」
- 4「その状況について,もう少し詳しく話してもらえませんか」
- 5「正確に記録したいので,ゆっくり話してもらえませんか」
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✓ これが正解4「その状況について,もう少し詳しく話してもらえませんか」
解説
開かれた質問で、状況をもう少し詳しく話してもらう応答が適切です。
事例問題です。場面は地域包括支援センターでの面接の最初の段階で、決め手は、相談者が親の介護でイライラして強い口調で怒ってしまうと訴えたところだという点です。この段階では、助言や評価よりも、まず相談者の話を十分に聴いて状況を理解することが求められます。
アイビイが体系化したマイクロカウンセリングでは、相手に関心を向けて聴く姿勢であるかかわり行動と、質問・励まし・言い換え・感情の反映などの基本的傾聴技法を、面接の土台としています。基本的傾聴技法の一つである開かれた質問は、はい・いいえでは答えられない形で問いかけ、相手が自分の言葉で自由に語れるようにするものです。その状況について、もう少し詳しく話してもらえないかと尋ねる応答は、この開かれた質問にあたり、相談者の体験をより具体的に理解することにつながるので、最も適切です。
一方、すぐに対応の仕方を助言したり、行動の良しあしを評価したり、自分の体験を重ねて分かったつもりになったりする応答は、相談者の話を聴く前に面接者の考えを差し出すことになります。記録の都合を優先する応答も、相談者に焦点を当てたものではありません。
面接の最初の段階では、助言や評価より先に、開かれた質問で相手の話を引き出す、と覚えておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「同じことを聞かれても,いつも初めてのように答えるといいですよ」:いつも初めてのように答えるとよいという応答は、話を十分に聴く前に対応のしかたを助言するものです。最初の段階では、相談者の体験や気持ちをまず理解することが先になります。
- 2「それは適切な行動ではないですよね」:適切な行動ではないと指摘する応答は、相談者の行動を面接者が評価して非難するものです。相談者は責められたと感じて話しにくくなり、信頼関係づくりを妨げます。
- 3「私もあなたと同じような経験をしたので,あなたの気持ちがよくわかります」:自分も同じ経験をしたので気持ちがよく分かるという応答は、面接者自身の体験を持ち出すもので、相談者の体験を十分に聴かないうちに分かったつもりになるおそれがあります。
- 5「正確に記録したいので,ゆっくり話してもらえませんか」:正確に記録したいのでゆっくり話してほしいという応答は、面接者側の記録の都合を優先しています。相談者の話に関心を向けるかかわり行動とはいえません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題11。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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