第37回 問題38
権利擁護を支える法制度
事例を読んで,障害者福祉施設従事者等による障害者虐待への対応に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
A県B市に所在するC障害者支援施設に勤務するD生活支援員は,同僚のE生活支援員が知的障害のある利用者のFさんに対して,著しい暴言を投げかけている場面を目撃した。
- 1Dは,Fさんの同意の有無にかかわらずB市に通報する。
- 2Dは,施設長の許可を得てからB市に通報する。
- 3B市は,知的障害者福祉法に基づき立入調査を実施する。
- 4B市は,Dからの通報であることを施設に伝える。
- 5B市はA県に,C施設での障害者虐待に関する事項を報告する。
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✓ これが正解1Dは,Fさんの同意の有無にかかわらずB市に通報する。
✓ これが正解5B市はA県に,C施設での障害者虐待に関する事項を報告する。
解説
同意の有無にかかわらず市に通報し、市は県に報告します。
2つ選ぶ事例問題です。決め手は、障害者支援施設のD生活支援員が、同僚のE生活支援員が利用者のFさんに著しい暴言を投げかける場面を目撃したという点です。著しい暴言は心理的虐待にあたり、施設の職員によるものなので、障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律(障害者虐待防止法)の障害者福祉施設従事者等による障害者虐待として対応します。
同法第16条は、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待を受けたと思われる障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならないと定めています。通報は義務なので、Fさんの同意の有無にかかわらず、DはB市に通報します。また、第17条は、通報を受けた市町村は、虐待に関する事項を事業所の所在地の都道府県に報告しなければならないとしています。したがって、DがFさんの同意にかかわらずB市に通報することと、B市がA県に報告することの2つが適切です。
一方、通報に施設長の許可を得る手順は求められていません。市町村や都道府県は、社会福祉法や障害者総合支援法などの権限を使って対応します(第19条)。通報を受けた市町村の職員は、通報した人を特定させる情報を漏らしてはなりません(第18条)。
施設での虐待は、見つけた人が直接市町村へ通報し、市町村が都道府県へ報告する、という流れで押さえておくと判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2Dは,施設長の許可を得てからB市に通報する。:障害者虐待防止法は、虐待を受けたと思われる障害者を発見した者に、速やかに市町村へ通報することを義務づけています。施設長の許可を得る手順はなく、許可を待てば通報が遅れたり止められたりするおそれがあります。
- 3B市は,知的障害者福祉法に基づき立入調査を実施する。:施設の職員による虐待への対応では、市町村長や都道府県知事は社会福祉法や障害者総合支援法といった法律の権限を使って調査や指導を行います。知的障害者福祉法に基づく立入調査ではありません。
- 4B市は,Dからの通報であることを施設に伝える。:通報を受けた市町村の職員には、通報した人がだれか分かるような事柄を漏らしてはならない守秘の義務があります。Dからの通報だと施設に伝えることは、この義務に反します。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題38。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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