第37回 問題79
社会福祉調査の基礎
ブース(Booth, C.)のロンドン調査に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1ロンドン市民の人口統計の作成が目的だった。
- 2調査対象となった市民の自宅へ調査票を配布する郵送調査だった。
- 3当時のロンドン市民の一部を調査対象とする標本調査だった。
- 4貧困の主たる原因が,個人的習慣であることを明らかにした。
- 5ロンドンの街を経済階層で色分けした貧困地図を作成した。
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✓ これが正解5ロンドンの街を経済階層で色分けした貧困地図を作成した。
解説
ブースのロンドン調査は、街を経済階層で色分けした貧困地図を作りました。
ブース(Booth, C.)は、19世紀末のロンドンで、市民の生活と労働の実態を大規模に調べた人物で、ラウントリー(Rowntree, B. S.)のヨーク調査と並んで、貧困調査の古典として知られます。ブースは、学務委員(スクール・ボード・ビジター)が家庭訪問で得た情報なども活用して、ロンドン市民の生活状態を広く調べました。
調査の成果の一つが、ロンドンの街路ごとに住民の経済階層を色分けした貧困地図です。ブースは住民の暮らし向きを複数の階層に分け、地図の上に色で示すことで、どの地域に貧困がどれほど集まっているかを目に見える形にしました。したがって、ロンドンの街を経済階層で色分けした貧困地図を作成したとする記述が最も適切です。調査の結果、ロンドン市民のおよそ3割が貧困の状態にあることが示されました。
また、ブースは貧困の原因を分析し、個人の飲酒や浪費といった習慣よりも、不規則な雇用や低賃金といった雇用の問題が主な原因であることを明らかにしました。見分け方は、ブースはロンドン・貧困地図・雇用の問題、ラウントリーはヨーク・貧困線・ライフサイクル、と組で覚えることです。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1ロンドン市民の人口統計の作成が目的だった。:ブースの調査の目的は、人口を数えることではなく、ロンドン市民の貧困の広がりと生活・労働の実態を明らかにすることでした。人口統計の作成を目的としたとする記述は、調査のねらいを取り違えています。
- 2調査対象となった市民の自宅へ調査票を配布する郵送調査だった。:ブースは、調査票を郵送して回答してもらう方法ではなく、学務委員などが家庭訪問で得た情報や、調査員による聞き取りや観察をもとに実態を調べました。郵送調査という記述は調査の方法と合いません。
- 3当時のロンドン市民の一部を調査対象とする標本調査だった。:ブースの調査は、一部を抜き出して全体を推し量る標本調査ではなく、ロンドンの市民全体を対象とした全数調査として知られます。標本調査の手法が貧困調査で使われるようになるのは、もう少し後のことです。
- 4貧困の主たる原因が,個人的習慣であることを明らかにした。:ブースの分析では、貧困の主な原因は個人の習慣よりも、不規則な雇用や低賃金といった雇用の問題にあるとされました。個人的習慣が主たる原因とする記述は、調査の結論と逆です。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題79。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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