第37回 問題81
社会福祉調査の基礎
A市こども家庭センターでは,担当圏域の地域住民を対象に,児童虐待の発生予防に向けた活動への協力意向について多肢選択法による質問紙調査を実施することにした。その際,用いる質問文として,最も適切なものを1つ選びなさい。
- 1「あなたは,児童虐待を防止するための活動や,児童虐待があった家庭を支援するための活動に協力したいと思いますか。あてはまるもの1つを選択してください」
- 2「児童虐待を予防するためには地域で協力することが必要不可欠ですが,あなたは,地域での見守り活動に協力したいと思いますか。あてはまるもの1つを選択してください」
- 3「あなたは,ネグレクトされている児童の早期発見に向けて,地域でのアセスメント活動に協力したいと思いますか。あてはまるもの1つを選択してください」
- 4「あなたは,児童虐待の予防に向けた小学校での取組に協力したいと思いますか。あてはまるもの1つを選択してください」
- 5「あなたは,虐待を受けた児童の心理面を支える活動に,地域のニートが協力することについて,どのようにお考えですか。あてはまるもの1つを選択してください」
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✓ これが正解4「あなたは,児童虐待の予防に向けた小学校での取組に協力したいと思いますか。あてはまるもの1つを選択してください」
解説
一つの事柄だけを、誘導や専門用語なしに尋ねる質問文が適切です。
質問紙調査の質問文は、回答者が誤解なく答えられ、調査者の意図が回答をゆがめないように作る必要があります。主な注意点は、1つの質問で2つ以上のことを尋ねない(ダブルバーレル質問を避ける)、回答を特定の方向に誘導しない、専門用語や難しい言葉を使わない、偏見や価値判断を含む言葉を使わない、の4つです。
児童虐待の予防に向けた小学校での取組に協力したいと思うかを尋ねる質問文は、尋ねている内容が一つに絞られており、誘導する前置きも、一般の住民にはわかりにくい専門用語も含んでいません。地域住民を対象に協力の意向を尋ねる質問として、注意点のいずれにも反していないので、最も適切です。
ほかの質問文は、それぞれ上の注意点のどれかに反しています。見分け方は、選択肢の質問文を一つずつ、2つのことを聞いていないか、前置きで答えを誘っていないか、住民にわからない言葉がないか、偏見を含む言葉がないか、の順に確かめることです。この4つの点検を習慣にすると、質問文を作る問題も、不適切な質問文を選ぶ問題も同じ手順で解けます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「あなたは,児童虐待を防止するための活動…:児童虐待を防止するための活動と、虐待があった家庭を支援するための活動という2つの事柄を、1つの質問でまとめて尋ねています。片方には協力したいがもう片方はそうでない人が、答えられなくなります。
- 2「児童虐待を予防するためには地域で協力す…:前置きで、児童虐待を予防するためには地域での協力が必要不可欠だと述べてから意向を尋ねており、回答者を協力する方向へ誘導してしまいます。前置きのない中立的な聞き方にする必要があります。
- 3「あなたは,ネグレクトされている児童の早…:ネグレクトやアセスメントといった福祉の専門用語は、一般の地域住民には意味が伝わりにくい言葉です。回答者によって受け取り方がばらつき、正確な回答が得られないおそれがあります。
- 5「あなたは,虐待を受けた児童の心理面を支…:地域のニートという言葉は、特定の人々に否定的な印象を与えかねない表現で、回答者の偏見を引き出すおそれがあります。また質問の焦点が回答者自身の協力の意向から外れ、調査の目的とも合いません。
出典:第37回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題81。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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