第38回 問題43
地域福祉と包括的支援体制
国内外のセツルメントの歴史に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
- 1バーネット(Barnett, S.)がトインビー・ホール(ロンドン)を設立した当初,主に活動したのは外部から移り住んだ大学の卒業生達であった。
- 2アダムス(Addams, J.)がハル・ハウス(シカゴ)を設立した当初,ヨーロッパからの移民が集住する地域で学習機会提供を含む様々な支援活動が展開された。
- 3岡山博愛会は,社会階層の高い住民の割合が大きい地域の中で,排除された人々が気軽に立ち寄り交流する場を提供した。
- 4キングスレー館は,1924年(大正13年)の関東大震災を契機として,東京帝国大学セツルメントの関係者によって設立された。
- 5我が国の隣保事業は,明治後期に同和対策事業として,政府による公設セツルメントとして始まった。
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✓ これが正解1バーネット(Barnett, S.)がトインビー・ホール(ロンドン)を設立した当初,主に活動したのは外部から移り住んだ大学の卒業生達であった。
✓ これが正解2アダムス(Addams, J.)がハル・ハウス(シカゴ)を設立した当初,ヨーロッパからの移民が集住する地域で学習機会提供を含む様々な支援活動が展開された。
解説
トインビー・ホールとハル・ハウスの設立当初についての記述が適切です。
セツルメントは、大学生や知識人などが貧しい人々の暮らす地域に住み込み、住民と生活をともにしながら、教育や文化活動、生活の相談などを通じて地域の改善をめざした活動です。19世紀後半のイギリスで始まり、アメリカや日本にも広がりました。
2つ選ぶ問です。一つ目は、1884年にバーネットがロンドンのイーストエンドに設立したトインビー・ホールです。設立当初、オックスフォード大学などの卒業生が外部から移り住み、住民とともに活動しました。二つ目は、1889年にアダムスらがシカゴに設立したハル・ハウスです。ヨーロッパからの移民が多く暮らす地域で、英語の学習などの機会の提供を含む幅広い活動が行われました。この2つが適切です。
日本のセツルメントや隣保事業についての記述は、設立された地域の様子、設立の年と経緯、始まった時期と担い手のいずれかを取り違えています。
英米のセツルメントは大学人や知識人が地域に住み込む活動として始まり、日本ではキリスト教の実践から広がり、震災後に大学セツルメントが生まれた、という流れで押さえましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 3岡山博愛会は,社会階層の高い住民の割合が…:岡山博愛会は、1891年にアメリカ人宣教師のアダムス(Adams, A. P.)が、岡山の貧しい人々が多く暮らす地域で始めた活動です。社会階層の高い住民が多い地域で開かれたものではありません。
- 4キングスレー館は,1924年(大正13年…:キングスレー館は、1897年に片山潜が東京の神田三崎町に開設した、日本の初期のセツルメントの一つです。関東大震災は1923年の出来事で、その後に設立されたのは東京帝国大学セツルメントです。
- 5我が国の隣保事業は,明治後期に同和対策事…:日本の公設のセツルメントにあたる隣保事業は、大正期に大阪市や東京市などの大都市で、市民館などとして始まりました。明治後期に同和対策事業として政府が始めたものではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題43。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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