第38回 問題44
地域福祉と包括的支援体制
地域福祉の動向に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
- 12023年(令和5年)施行の「改正個人情報保護法」では,多機関連携を推進するため,地方公共団体ごとに個人情報保護条例を制定し,情報共有ルールを明確にすることが規定された。
- 22024年(令和6年)の「民生委員・児童委員の選任要件に関する検討会」により,居住要件が撤廃されることになった。
- 32024年(令和6年)に改訂された「農福連携等推進ビジョン」では,障害者の就労に特化した福祉農園の普及・拡大を提言した。
- 42025年(令和7年)に公表された「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめ」では,中山間・人口減少地域での高齢者の集住促進を提言した。
- 52025年(令和7年)に公表された「『地域共生社会の在り方検討会議』中間とりまとめ」では,身寄りのない高齢者に対する死後事務支援などを提供することができる事業を社会福祉事業として位置づけることとした。(注) 「改正個人情報保護法」とは,2021年(令和3年)に改正された「個人情報の保護に関する法律」のことである。
答えと解説を見る
✓ これが正解52025年(令和7年)に公表された「『地域共生社会の在り方検討会議』中間とりまとめ」では,身寄りのない高齢者に対する死後事務支援などを提供することができる事業を社会福祉事業として位置づけることとした。(注) 「改正個人情報保護法」とは,2021年(令和3年)に改正された「個人情報の保護に関する法律」のことである。
解説
中間とりまとめは身寄りのない高齢者への支援を社会福祉事業に位置づけるとしました。
この問は、2023年から2025年にかけての地域福祉に関わる法律の改正や国の検討会の報告が、それぞれ何を打ち出したかを確かめる問です。報告書の名前と、そこで示された方向をセットで押さえているかが判断の軸になります。
正しいのは、2025年(令和7年)に公表された地域共生社会の在り方検討会議の中間とりまとめについての記述です。この中間とりまとめは、頼れる身寄りがいない高齢者などが増えていることを受けて、日常生活の支援、入院などの手続の支援、亡くなった後の死後事務の支援などを行う事業を、社会福祉事業として位置づける方向を示しました。家族がいることを前提にしてきた手続や支えを、地域の福祉の仕組みで補おうとする考え方です。
ほかの記述は、個人情報保護の仕組みの向き、民生委員の要件の扱い、農福連携の対象の広さ、中山間地域についての提言の中身が、それぞれ実際の報告や改正と合っていません。報告書の名前だけでなく、何を広げたのか、何を一本化したのかという向きで覚えると見分けやすくなります。
出題当時、この事業化は中間とりまとめの段階の提言でした。その後、2026年(令和8年)6月25日公布の社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)で、身寄りのない高齢者等への日常生活・入院等の手続・死後事務の支援を第二種社会福祉事業に位置づけることが定められ、公布から2年以内の政令で定める日に施行される予定です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 12023年(令和5年)施行の「改正個人情…:2021年の個人情報保護法の改正は、地方公共団体ごとにばらばらだった個人情報保護条例のルールを、法律の共通ルールにまとめる方向の改正でした。自治体ごとに条例を作らせる内容ではありません。
- 22024年(令和6年)の「民生委員・児童…:民生委員・児童委員の選任要件に関する検討会は、担い手不足を背景に要件の在り方を議論した場ですが、居住要件そのものを撤廃すると決めたわけではありません。撤廃と言い切る点が誤りです。
- 32024年(令和6年)に改訂された「農福…:2024年に改訂された農福連携等推進ビジョンは、障害者に限らず、高齢者や生活に困りごとを抱える人など、多様な人が農業に関わる取組へと対象を広げる方向を示しました。障害者に特化した提言ではありません。
- 42025年(令和7年)に公表された「20…:2040年に向けたサービス提供体制等のあり方に関するとりまとめは、中山間・人口減少地域でもサービスを維持できるよう、柔軟な提供の仕組みや事業者の連携を提言したものです。高齢者に集まって住むよう促す提言ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題44。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
同じ用語が出る問題
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)