第38回 問題47
地域福祉と包括的支援体制
事例を読んで,次の記述のうち,A自治体職員の対応として,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
Aは,住民に対するニーズ調査から災害時の福祉支援の必要性が浮き彫りになったことから,災害時の福祉支援体制を強化するために,従来,バラバラであった周辺の自治体との連携の強化を含め,現在の重層的支援体制整備事業の実施体制を見直すこととした。
- 1災害対策会議と重層的支援会議のメンバーが重複するため,時間を切り分けて同日に実施することとした。
- 2災害時における避難行動要支援者への福祉支援を強化するため,アウトリーチ等を通じた継続的支援事業を発災時に実施する仕組みに変更した。
- 3災害に備えて,福祉支援の必要性が高いケースに関しては,速やかに諮るため,支援会議を随時開催とし,定例開催と同様に本人同意がなくても行うこととした。
- 4重層的支援体制整備事業実施計画は,各種福祉計画の上位計画であるため,自治体の地域防災計画の内容を含めて,見直すことにした。
- 5災害対策は広域的な対応が重要であるため,重層的支援体制整備事業の実施主体を複数の市町村で構成される広域連合に変更することとした。
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✓ これが正解1災害対策会議と重層的支援会議のメンバーが重複するため,時間を切り分けて同日に実施することとした。
✓ これが正解3災害に備えて,福祉支援の必要性が高いケースに関しては,速やかに諮るため,支援会議を随時開催とし,定例開催と同様に本人同意がなくても行うこととした。
解説
支援会議と重層的支援会議は別の会議で、支援会議は本人の同意なく開けます。
この事例は、A自治体職員が住民へのニーズ調査をもとに、災害時の福祉支援体制を強化するため、重層的支援体制整備事業の実施体制を見直す場面です。決め手は、社会福祉法に定められた会議や計画の性格(だれが行い、どんな条件で開けるか)を取り違えずに見直せているかどうかです。なお、この問は適切なものを2つ選ぶ問です。
1つ目は、災害対策会議と重層的支援会議を、時間を切り分けて同じ日に行う対応です。二つの会議は目的も、扱う情報のルールも異なる別の会議です。メンバーが重なっていても、会議としてきちんと分けて開けば、出席者の負担を減らしつつそれぞれの目的を果たせます。
2つ目は、支援会議を随時開けるようにし、本人の同意がなくても行う対応です。社会福祉法第106条の6は、市町村が支援関係機関などで構成する支援会議を組織できると定め、会議の構成員には秘密を守る義務がかかります。この守秘の仕組みがあるので、本人の同意を得る前の段階でも情報を共有して支援を検討できます。災害に備えて急いで話し合う必要があるケースでも、定例の開催と同じ扱いで開けるわけです。
見分け方として、本人の同意を前提にプランを話し合うのが重層的支援会議、同意がなくても守秘義務のもとで情報共有できるのが支援会議、と対にして覚えておくと迷いにくくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 2災害時における避難行動要支援者への福祉支…:アウトリーチ等を通じた継続的支援事業は、地域社会からの孤立が長く続く人などを訪問して状況を把握し、継続的に関わる事業です。発災時の避難行動要支援者への支援に切り替えて使う仕組みではありません。
- 4重層的支援体制整備事業実施計画は,各種福…:重層的支援体制整備事業実施計画は、市町村が策定に努めるものとされ、地域福祉計画などほかの計画と調和を保って作る計画です。各種福祉計画の上位に立つ計画ではなく、地域防災計画を取り込んで見直す性格のものでもありません。
- 5災害対策は広域的な対応が重要であるため,…:重層的支援体制整備事業は、社会福祉法で市町村が行うことができる事業として定められています。災害対応で広域の連携が大切だとしても、実施主体を広域連合に移す対応は法の枠組みに合いません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題47。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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