第38回 問題90
高齢者福祉
事例を読んで,特定施設入居者生活介護の指定を受けたA養護老人ホームにおけるBさんへの対応として,次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
〔事 例〕
Bさん(74歳,男性)はA養護老人ホームに7年前から入所している。数回の入院加療を経て,5日前に末期の肝臓がんで余命が6か月以内と主治医に診断された。現在のBさんは意思表示・意思決定が十分に可能であり,病状や余命に関する告知を受け,それを理解したうえで「ここで最期まで暮らしたい」と希望している。なお,Bさんと家族・親族とのつながりは50年以上の間,途絶えている。A養護老人ホームではACP(アドバンス・ケア・プランニング)の考え方を重視し,Bさんの同意のもと,Bさんに関する今後の介護や医療の方針を「ガイドライン」に則って,「医療・ケアチーム」を組織して協議・決定することとした。
- 1医療・ケアチームは,Bさんの病状に詳しい複数の看護職員で構成する組織で代替できる。
- 2Bさんの意思決定を尊重し,方針に関する話し合いは繰り返さないようにする。
- 3Bさんと医療・ケアチームが話し合った内容は,その都度文書にまとめておく。
- 4Bさんと医療・ケアチームで方針の合意が得られない場合,施設長が判断する。
- 5Bさんの意思が確認できなくなった場合は,家族の「推定意思」を尊重する。(注) 「ガイドライン」とは,「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂,厚生労働省)のことである。
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✓ これが正解3Bさんと医療・ケアチームが話し合った内容は,その都度文書にまとめておく。
解説
話し合った内容は、その都度文書にまとめておくのがガイドラインの要請。
事例のBさんは余命の告知を理解し、意思表示・意思決定が十分にでき、ここで最期まで暮らしたいと希望しています。家族・親族とのつながりは長く途絶えています。施設はACP(アドバンス・ケア・プランニング、人生の最終段階の医療・ケアを本人と前もって繰り返し話し合う取組)を重視し、ガイドラインに沿って医療・ケアチームで方針を決めようとしている場面です。
人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン(平成30年3月改訂)は、本人の意思決定を基本に、医療・ケアチームが本人と十分に話し合うことを求めています。そして、本人の意思は変わりうるので話し合いを繰り返し行うこと、話し合った内容はその都度文書にまとめておくことを示しています。Bさんと医療・ケアチームの話し合いの内容を都度文書にまとめる対応が、このガイドラインに沿った最も適切な対応です。
ほかの記述は、ガイドラインの考え方とずれています。医療・ケアチームは医師・看護職員だけでなく介護職員や社会福祉士など多職種で構成するもので、話し合いは一度で終わらせず繰り返します。合意が得られない場合は、複数の専門家からなる話し合いの場を設けて検討し、施設長の一存では決めません。本人の意思が確認できないときに尊重するのは、家族等が推定する本人の意思です。本人中心・多職種・繰り返し・文書化、の4つを手がかりにすると判断しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1医療・ケアチームは,Bさんの病状に詳しい…:医療・ケアチームは、医師や看護職員に加え、介護職員や社会福祉士など多職種で構成するものとされています。病状に詳しい看護職員だけの組織では、生活や心理面を含めた検討ができず、代替になりません。
- 2Bさんの意思決定を尊重し,方針に関する話…:本人の意思は、時間の経過や心身の状態の変化によって変わりうるものです。そのため方針の話し合いは、一度決めたら終わりではなく、そのつど繰り返し行うことが求められています。
- 4Bさんと医療・ケアチームで方針の合意が得…:本人と医療・ケアチームの間で合意が得られないときは、複数の専門家からなる話し合いの場を別に設け、方針について検討や助言を受けるとされています。施設長が単独で判断するのではありません。
- 5Bさんの意思が確認できなくなった場合は,…:本人の意思が確認できない場合に尊重するのは、家族等が推定する本人の意思であり、家族自身の意向ではありません。Bさんは家族とのつながりも途絶えているので、本人にとって最善の方針をチームで話し合うことになります。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題90。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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