第38回 問題105
保健医療と福祉
事例を読んで,救急病院のAソーシャルワーカー(社会福祉士)のBさんへの対応に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
住民票を移さないまま都市部に移り住んだBさん(55歳)は,ここ10年ほど簡易宿泊所で寝起きし,週4日程度の日雇労働に従事し,その日暮らしである。ある日,息切れと胸痛のため路上でうずくまっていたBさんは救急病院で結核と診断され,さらに排菌しているため,入院を勧告された。簡易宿泊所で感染したものと考えられた。Bさんは健康保険の被保険者であるものの医療費の一部負担金が払えない,働かないと生活ができないと訴えて,入院を拒否している。
- 1入院した場合,公費負担により一部負担金が発生しないことを説明する。
- 2傷病手当金について説明する。
- 3療養補償給付について説明する。
- 4住民票の住所地であれば医療扶助を申請できることを説明する。
- 5選定療養費の対象になることを説明する。
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✓ これが正解1入院した場合,公費負担により一部負担金が発生しないことを説明する。
✓ これが正解2傷病手当金について説明する。
解説
結核の入院勧告では公費負担があり、被保険者なら傷病手当金も使える。
事例の決め手は、Bさんが排菌している結核で入院を勧告されていること、健康保険の被保険者であること、そして入院を拒む理由が、一部負担金を払えないことと、働かないと生活できないことの2つだという点です。支援の段階でいえば、入院を拒む理由をつかみ、その不安を解く情報を示す場面です。2つ選ぶ問です。
1つめは医療費の不安への対応です。結核は感染症法の二類感染症で、都道府県知事の入院勧告による入院では、患者等の申請により、都道府県が医療に要する費用を負担します。医療保険が優先して適用され、残る自己負担分を公費が負担するので、原則として一部負担金は生じません(本人等に負担能力がある場合はその限度で負担することがあります)。入院すれば公費負担により一部負担金が発生しないことを説明する対応が適切です。
2つめは収入の不安への対応です。健康保険の被保険者が病気やけがの療養のために働けず、給与を受けられないときは、傷病手当金が支給されます。日雇労働で働いていても、健康保険の被保険者であれば対象となりうるので、傷病手当金について説明する対応も適切です。
ほかの記述は、Bさんの状況に当てはまりません。療養補償給付は仕事が原因の病気の給付で、Bさんの感染は簡易宿泊所でのものと考えられています。医療扶助は住民票の場所に関係なく、現在地の福祉事務所で申請できます。選定療養は差額ベッドなど患者が選ぶ療養で、費用の不安を解く情報ではありません。医療費は公費、生活費は傷病手当金、と2つの不安に1つずつ答える、と考えると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 3療養補償給付について説明する。:療養補償給付は、労働者災害補償保険による、業務が原因の病気やけがに対する給付です。Bさんの結核は簡易宿泊所で感染したものと考えられており、仕事が原因とはいえないので、ここで説明する給付ではありません。
- 4住民票の住所地であれば医療扶助を申請できることを説明する。:生活保護の医療扶助は、住民票の所在地に限らず、現に生活している場所を所管する福祉事務所に申請できます。住民票の住所地であれば申請できるという説明は、Bさんに誤った制約を伝えることになります。
- 5選定療養費の対象になることを説明する。:選定療養は、差額ベッドなど患者が自ら選んで受ける療養で、その分は保険外の負担になります。勧告による入院に費用の上乗せの話を持ち出すことになり、一部負担金の不安に応える説明ではありません。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題105。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
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