第38回 問題112
ソーシャルワークの基盤と専門職(専門)
事例を読んで,Bさんが通院する病院のAソーシャルワーカーの判断として,次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
〔事 例〕
高校2年生のBさんは呼吸器の障害があり,睡眠時にはBiPAPの装着が必要である。3泊4日の修学旅行についてBさんが主治医に相談したところ,宿泊先及び近隣の医療機関,機械のメーカーがトラブル時の対応についての調整ができれば参加可能との判断であった。必要な調整はできたが,高校は修学旅行期間中にBiPAPの対応に慣れているBさんの母親の同行を求めた。Bさんは,親の負担や友達との時間を考え,親の同行がない方がよいと思っており,そのことを主治医に相談した。主治医は,Aに意見を求めた。
- 1「生命の安全を重視すれば,Bさんの母親も参加した方がよいのではないか」
- 2「修学旅行は学校の行事であり,学校の判断に従う方がよいのではないか」
- 3「学校関係者がBiPAPの対応について,事前に学ぶ機会を持てばよいのではないか」
- 4「関係者の希望や判断の違いを詳しく確認し,それぞれの意見のすり合わせをした方がよいのではないかと考えている」
- 5「医学的根拠に基づく意見は重要であり,改めて親の同行は不要との意見を出してもらった方がよいのではないか」
答えと解説を見る
✓ これが正解4「関係者の希望や判断の違いを詳しく確認し,それぞれの意見のすり合わせをした方がよいのではないかと考えている」
✓ これが正解5「医学的根拠に基づく意見は重要であり,改めて親の同行は不要との意見を出してもらった方がよいのではないか」
解説
関係者の意見のすり合わせと、医学的根拠に基づく意見の提示が適切とされる。
事例の決め手は、主治医がすでに、宿泊先・近隣の医療機関・機械のメーカーとの調整ができれば参加可能と判断し、その調整も済んでいることです。それでも高校は母親の同行を求め、Bさんは親の負担や友達との時間を考えて同行のない参加を望んでいます。主治医からAソーシャルワーカーが意見を求められた場面で、立場によって判断が分かれている関係者の間を調整する段階です。2つ選ぶ問です。
1つめに適切とされるのは、関係者の希望や判断の違いを詳しく確認し、それぞれの意見をすり合わせた方がよいと考える判断です。Bさん・母親・学校・主治医の考えがどこで食い違っているのかを明らかにし、話し合いで解決の道を探ることは、ソーシャルワーカーの調整の役割そのものです。
2つめに適切とされるのは、医学的根拠に基づく意見は重要であり、改めて親の同行は不要との意見を主治医から出してもらった方がよいという判断です。学校が母親の同行を求める背景には、安全への不安があると考えられます。必要な調整が済んだうえで、医師が医学的に同行がなくてよいと示せば、学校の不安に正面から応える材料となり、Bさんの希望の実現につながります。
ほかの判断は、Bさんの意思より周りの都合や安全の一般論を優先したり、関係者の考えを確かめる前に新たな負担の案を示したりするものです。本人の希望を出発点に、関係者の考えの違いを確かめ、根拠を示して合意をつくる、という流れで考えるのが見分け方です。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1「生命の安全を重視すれば,Bさんの母親も参加した方がよいのではないか」:主治医は必要な調整ができれば参加可能と判断しており、その調整も済んでいます。生命の安全を理由に母親の参加を勧めるのは、医学的な判断を超えて、親の同行を望まないBさんの意思を退けることになります。
- 2「修学旅行は学校の行事であり,学校の判断に従う方がよいのではないか」:学校の行事であっても、障害のある生徒の参加の条件を学校の判断だけに委ねると、Bさんの意思や医学的な判断が置き去りになります。本人の側に立って調整するソーシャルワーカーの判断として適切ではありません。
- 3「学校関係者がBiPAPの対応について,事前に学ぶ機会を持てばよいのではないか」:学校関係者が対応を学ぶことは一つの案ですが、関係者の考えの違いを確かめる前に、学校側に新たな負担を求める具体策を示すことになります。この時点では、まず考えを確かめ、医学的な根拠を示して合意をつくる方が先です。
出典:第38回 社会福祉士国家試験(公益財団法人 社会福祉振興・試験センター)問題112。問題文と選択肢は原文のままです。解説は当サイト独自のもので、同センターとは関係ありません。
この解説に誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。誤りを報告する(メールが開きます)