平成22年度 春期 午前 問3
基礎理論
待ち行列理論に関する問題
多数のクライアントが,LAN に接続された 1 台のプリンタを共同利用するときの印刷要求から印刷完了までの所要時間を,待ち行列理論を適用して見積もる場合について考える。プリンタの運用方法や利用状況に関する記述のうち,M/M/1 の待ち行列モデルの条件に反しないものはどれか。
- ア一部のクライアントは,プリンタの空き具合を見ながら印刷要求をする。
- イ印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず,先着順に印刷する。
- ウ印刷待ち文書の総量がプリンタのバッファサイズを超えるときは,一時的に受付を中断する。
- エ一つの印刷要求から印刷完了までの所要時間は,印刷の準備に要する一定時間と,印刷量に比例する時間の合計である。
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✓ これが正解イ印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず,先着順に印刷する。
解説
前提に反しないのは先着順で捌く運用です。
待ち行列理論でよく使うこのモデルは、四つの前提の上に成り立っています。到着がほかの利用者の様子と無関係にばらばらに起きること、1 件あたりの処理時間が指数分布に従うこと、窓口が 1 つであること、そして待ち行列の長さに上限が無いことです。加えて、並んだ順に処理する先着順であることも前提に含まれます。設問が聞いているのは、この前提を破っていない運用はどれかという向きなので、四つの前提のどれにも触れない運用を 1 つだけ選びます。正解は、印刷の緊急性や印刷量の多少にかかわらず先着順に印刷するという運用です。これは並んだ順に捌くという前提をそのまま言い表したもので、到着の起き方にも処理時間の分布にも窓口の数にも行列の長さにも手を加えていません。見積りの式を当てはめてよいかどうかは、このように前提を 1 つずつ照らして確かめます。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- ア一部のクライアントは,プリンタの空き具合…:利用者が込み具合を見てから要求を出すという運用です。要求の起き方が行列の状態に左右されることになるため、ほかと無関係にばらばらに発生するという到着の仮定が崩れます。
- ウ印刷待ち文書の総量がプリンタのバッファサ…:ためておける量に上限を設け、あふれそうになったら受付を止めるという運用です。並べる長さに限りがある窓口の話になるので、行列に上限を置かないという仮定から外れます。
- エ一つの印刷要求から印刷完了までの所要時間…:所要時間が準備の固定分と印刷量に比例する分の足し算で決まる運用です。量が決まれば時間も一意に決まってしまうため、処理時間が指数分布に従ってばらつくという仮定を満たしません。
この問題の用語
- LAN事務所や家庭など、限られた範囲の中で機器をつなぐネットワークです。離れた拠点どうしを結ぶWANとは、ルータを介して接続します。
出典:平成22年度 春期 応用情報技術者試験 午前 問3
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