第40回 午前 問73
基礎栄養学
食後と比べたときの空腹時の脂質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1小腸からのキロミクロンの分泌が亢進する。
- 2脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出が抑制される。
- 3肝臓でβ酸化が亢進する。
- 4骨格筋でケトン体の合成が亢進する。
- 5肝臓でケトン体の利用が亢進する。
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✓ これが正解3肝臓でβ酸化が亢進する。
解説
空腹時は脂肪酸が肝臓に運ばれ、β酸化が亢進します。
空腹時は、インスリンが下がりグルカゴンなどが上がることで、脂肪組織に蓄えた中性脂肪を分解してエネルギー源にする方向へ代謝が切り替わります。脂肪組織から放出された遊離脂肪酸は肝臓に取り込まれ、ミトコンドリアでβ酸化されてアセチルCoAになります。したがって、肝臓でβ酸化が亢進します。
ほかの記述は、食後に起こる変化を空腹時に当てはめたものか、ケトン体をつくる臓器と使う臓器を取り違えたものです。肝臓でβ酸化から余ったアセチルCoAはケトン体に変えられ、血液に乗って肝臓以外の組織へ運ばれます。
したがって、肝臓でβ酸化が亢進するという記述が適当です。ケトン体は肝臓でつくって肝臓以外で使う、と生産と消費の場所を分けて覚えると、空腹時の脂質代謝の問いを整理しやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1小腸からのキロミクロンの分泌が亢進する。:キロミクロンは、食事から吸収した脂質を小腸の上皮細胞で包んでリンパ管へ送り出すリポたんぱく質です。分泌が増えるのは食後で、空腹時には亢進しません。
- 2脂肪組織からの遊離脂肪酸の放出が抑制される。:空腹時はインスリンが低下し、脂肪組織のホルモン感受性リパーゼが働いて中性脂肪の分解が進みます。遊離脂肪酸の放出は抑制されるのではなく、促進されます。
- 4骨格筋でケトン体の合成が亢進する。:ケトン体を合成するのは肝臓で、骨格筋ではつくられません。骨格筋は、肝臓から血液中に放出されたケトン体を取り込んでエネルギー源として使う側の組織です。
- 5肝臓でケトン体の利用が亢進する。:肝臓はケトン体を利用するための酵素(スクシニルCoA:3-ケト酸CoAトランスフェラーゼ)をほとんどもたないため、自らつくったケトン体を利用できません。利用するのは骨格筋・心筋・脳などです。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午前(厚生労働省)問73(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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