第40回 午前 問72
基礎栄養学
空腹時に関する問題
食後と比べたときの空腹時の肝臓における糖質代謝に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1グルコース6─リン酸からグルコースへの変換が抑制される。
- 2乳酸からピルビン酸への変換が抑制される。
- 3グリセロールからのグルコース合成が亢進する。
- 4脂肪酸からのグルコース合成が亢進する。
- 5リシンからのグルコース合成が亢進する。
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✓ これが正解3グリセロールからのグルコース合成が亢進する。
解説
空腹時の肝臓では、グリセロールからの糖新生が亢進します。
空腹時の肝臓は、血糖を保つためにグリコーゲンの分解と糖新生を高めます。糖新生の材料になるのは、乳酸、ピルビン酸などに変わるアミノ酸(アラニンなど)、そして脂肪組織で中性脂肪が分解されて生じるグリセロールです。グリセロールは肝臓でジヒドロキシアセトンリン酸を経てグルコースに変えられるので、空腹時にはこの経路が亢進します。
ほかの記述は、空腹時に起こる変化の向きと逆であるか、そもそも糖新生の材料にならないものを挙げています。血糖を保つ方向に働く反応は空腹時に進み、アセチルCoAやケトン体にしかならない物質からはグルコースをつくれません。
したがって、グリセロールからのグルコース合成が亢進するという記述が適当です。糖新生の材料は乳酸・糖原性アミノ酸・グリセロール、材料にならないのは脂肪酸とケト原性のみのアミノ酸(リシン・ロイシン)と覚えましょう。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1グルコース6─リン酸からグルコースへの変換が抑制される。:空腹時の肝臓では、グリコーゲン分解や糖新生でできたグルコース6─リン酸を、グルコース-6-ホスファターゼでグルコースに変えて血中に放出します。この変換は抑制されず、促進されます。
- 2乳酸からピルビン酸への変換が抑制される。:空腹時には、筋肉などから運ばれた乳酸を肝臓でピルビン酸に戻し、糖新生でグルコースをつくります(コリ回路)。乳酸からピルビン酸への変換は抑制ではなく促進されます。
- 4脂肪酸からのグルコース合成が亢進する。:脂肪酸はβ酸化でアセチルCoAになりますが、ピルビン酸からアセチルCoAへの反応は逆向きに進まないため、アセチルCoAからグルコースはつくれません。脂肪酸からのグルコース合成は起こりません。
- 5リシンからのグルコース合成が亢進する。:リシンは、分解されるとアセトアセチルCoAなどケトン体のもとになるだけのケト原性アミノ酸です。糖新生の材料にならないため、リシンからのグルコース合成は起こりません。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午前(厚生労働省)問72(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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