第40回 午後 問126
臨床栄養学
肝不全用経腸栄養剤に関する問題
70歳、女性。アルコール性肝硬変(非代償期)。食事摂取不良、低栄養、肝性脳症のため入院した。肝性脳症改善後、低血糖がみられたため、管理栄養士による栄養評価に基づき、LES(late evening snack)を含む食事療法が開始され、肝不全用経腸栄養剤が処方された。食事摂取および経腸栄養剤の服用は良好である。食事療法を開始した日から3週間後までの検査値および病態の変化として、最も適当なのはどれか。1つ選べ。
- 1羽ばたき振戦の出現
- 2上腕筋囲の減少
- 3血中アルブミン値の低下
- 4早朝空腹時低血糖の改善
- 5フィッシャー比の低下
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✓ これが正解4早朝空腹時低血糖の改善
解説
LESにより、早朝空腹時の低血糖が改善します。
肝硬変では、肝臓にグリコーゲンを十分に蓄えられないため、夜間の絶食が続くと早い時間からエネルギー不足に陥り、早朝空腹時に低血糖や体たんぱくの分解が起こりやすくなります。LES(late evening snack)は、就寝前に軽食をとる方法で、夜間の飢餓状態を短くし、早朝の低血糖やエネルギー代謝の異常を改善することを目的としています。肝不全用経腸栄養剤は、分岐鎖アミノ酸(BCAA)を多く含み、低アルブミン血症の改善や肝性脳症の予防に役立ちます。
この患者は食事も経腸栄養剤も良好にとれているので、3週間後には、LESの効果として早朝空腹時の低血糖の改善が期待されます。これが最も適当です。ほかの変化は、肝性脳症の症状の出現、筋肉やアルブミンの減少、アミノ酸のバランスの悪化を示すもので、栄養療法が順調に進んだときに期待される変化とは逆の向きです。
肝硬変の栄養療法の効果は、低血糖、筋肉、アルブミン、フィッシャー比、脳症の症状がどの向きに動くかで整理すると見分けやすくなります。
ほかの選択肢はなぜ違うのか
- 1羽ばたき振戦の出現:羽ばたき振戦は、手を前に伸ばしたときに手首が羽ばたくように震える症状で、肝性脳症でみられます。肝性脳症が改善し、栄養療法が良好に進んでいる状態で新たに現れる変化とは考えにくいものです。
- 2上腕筋囲の減少:上腕筋囲は骨格筋の量を反映する指標です。食事と経腸栄養剤が良好にとれ、エネルギーとたんぱく質が補われていれば、筋肉の量は保たれるか増える方向で、減少は治療の効果と逆の変化です。
- 3血中アルブミン値の低下:肝不全用経腸栄養剤は分岐鎖アミノ酸を多く含み、肝臓でのアルブミンの合成を助けます。栄養療法が順調に進めば血中アルブミン値は改善に向かうので、低下は期待される変化ではありません。
- 5フィッシャー比の低下:フィッシャー比は、分岐鎖アミノ酸と芳香族アミノ酸の比です。肝不全用経腸栄養剤で分岐鎖アミノ酸を補うと、この比は上がる方向に動くので、低下は治療の効果と逆の変化です。
出典:第40回 管理栄養士国家試験 午後(厚生労働省)問126(改変:1問ずつ解ける形に加工(状況設定の文を各問に複写・図を文字に書き写し))。解説は当サイト独自のもので、厚生労働省とは関係ありません。
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